【田村秀男のお金は知っている】エリート官僚が「スケベ親父」になる真のワケ - 産経ニュース

【田村秀男のお金は知っている】エリート官僚が「スケベ親父」になる真のワケ

自他共に認めるエリートの財務官僚だが…
 皮肉をこめて言うのだが、天下の財務官僚が品性に欠けるスケベ親父同然だったとは、失望した。福田淳一財務事務次官の「セクハラ」疑惑である。(夕刊フジ)
 福田氏は女性記者相手ではないと抗弁しているが、「真相解明」と騒ぐのがばかばかしい。森友学園関連の決裁文書改竄(かいざん)といい、森友への国有地売却での虚偽の口裏合わせ工作といい、問題の次元が低すぎるのだ。
 1998年に発覚した大蔵省(現財務省)接待汚職(いわゆるノーパンしゃぶしゃぶ)事件を想起する向きもあるが、当時の大蔵官僚は開けっ広げだった。
 バブル経済の余韻が漂う90年代前半、大蔵省某幹部は知人が部屋を訪ねてくると、やおら机の引き出しを開けて、「夜の予定はずっと埋まっていて、大変だよ」と、接待元の名刺をずらり並べて披瀝(ひれき)する。この名物官僚は接待された料亭でどんちゃん騒ぎを起こした揚げ句、階下の一角で開かれていた知り合いの宴席になだれ込んだ。
 当時の大物官僚と現在の小物官僚の共通点は、エリート「無謬(むびゅう)」神話にある。「THE BEST AND THE BRIGHTEST(最良で最も賢い)」者は間違いを犯すはずはないとの思い込みのことである。「THE BEST AND THE BRIGHTEST」はケネディ・ジョンソン政権時代のマクナマラ国防長官ら最良・最賢グループが先導したベトナム戦争の失敗を題材にしたD・ハルバースタムの著書(1972年)の題名として広く知られ、米国ではいまなお批判の的だ。残念ながらわが国メディアと与野党議員の多くはエリート官僚が担う政策に目を向けない。
 80年代後半に日本をバブル経済へと誘導したのは、大蔵官僚主導の「プラザ合意」に続く超低金利政策で、米財務省と組んだ大蔵省が日銀に強制した。90年代初めのバブル崩壊を深刻化させたのは大蔵省通達による不動産融資規制や地価税導入だった。97年の山一証券など一連の大手証券・銀行の破綻は大蔵官僚によるにわか市場原理主義が背景にある。
 証券や銀行業界からの接待にさんざん興じていたくせに、情勢が厳しくなると市場による淘汰(とうた)こそが正義とばかり、切り捨てた。いまなお、抜けきれない20年デフレも消費税増税と緊縮財政が元凶だ。
 財務官僚は自己にとって都合の悪い事項は削り、嘘のつじつま合わせに励む。それに対し、メディアや議員の多くは安倍晋三首相に忖度(そんたく)して嘘をついた、と責めるのだが、嘘つき体質のエリートが作り上げる政策については極めて従順で肯定的である。政策が欺瞞(ぎまん)に満ちているなら、そっちのことこそ国家・国民の命運に関わる重大さにも関わらずである。
 既定の財務省路線である増税と緊縮財政では経済が萎縮することは明白だが、先達の失敗を認めない以上、転換できない。想像を絶する財務官僚の自堕落ぶりは、ひょっとして、無力エリートが抱えるストレスのなせる技かもしれない。(産経新聞特別記者・田村秀男)