YOUは何しに新党へ? 民進、希望合流はいいけれど…

野党ウオッチ
新党結成へ合流協議を進める民進党の大塚耕平代表(左)と希望の党の玉木雄一郎代表。合流して何を目指すのか=12日午後、東京都千代田区神田駿河台(斎藤良雄撮影)

 民進、希望両党による新党が大型連休前後に結党される見通しになった。安倍晋三政権に対峙できる大きな塊をつくるため、昨年の衆院選で分裂した旧民進系議員の再結集をはかることが目的だ。ただ、立憲民主党は「数合わせにはくみしない」(枝野幸男代表)として新党と距離を置く考えで、どれだけの勢力を形成できるかは見通せない。新党結成に反発して民進党内で「離党ドミノ」が起きる可能性もあり、野党再編はもう一波乱ありそうだ。

 現在、民進党(53人=衆院12人、参院41人)と希望の党(54人=衆院51人、参院3人)の全員が新党に合流した場合、衆参両院で立憲民主党(63人=衆院56人、参院7人)を上回る勢力となる。ただ、すでに民進党から離党者が出ており、新党結成をめぐりさまざまな思惑が交錯している。

 特に注目されるのは、岡田克也・民進党常任顧問(64)の動向だ。

 岡田氏は3日の記者会見で「新党構想についてどういうスタンスをとるか現時点では決めていない。自民党に代わる政権を担える政党をつくるために、どういう行動をすべきかという視点でしっかり考えたい」と煮え切らない答えに終始した。自身が代表を務める民進系衆院会派「無所属の会」の対応についても「一人ひとりが自分の責任で決めることだ」と述べるにとどめた。

 岡田氏や野田佳彦前首相(60)ら重鎮がそろう無所属の会は、希望と先行して連携することに消極的で、1月の統一会派交渉では土壇場で破談に追い込んだ経緯がある。しかし、破談後も立憲民主党との統一会派結成は一向に実現の兆しがみられず、業を煮やした大塚耕平代表(58)ら執行部が、希望との新党結成に踏み切る形となった。

 ある民進党幹部は「岡田氏らは『立憲民主党との交渉は任せろ』と啖呵を切った。なのにこの数カ月間、何をやっていたんだ」と不満を漏らす。一方の無所属の会所属議員からは「立憲民主党抜きの再編はあり得ない。今の執行部は何を言っても耳を貸さない」と憤りを隠さず、対立は深まるばかりだ。

 岡田氏らが希望との合流に消極的なのは、先の衆院選で排除された感情的しこりが残っていることも背景にある。野田氏は自身のウェブサイトで「小池百合子東京都知事およびその周辺のカラーが脱色されるのを見定めてから希望の党との連携を探るべきだ」と主張し、岡田氏も民進党分裂を招いた「けじめ」をつけるよう求めてきた。

 「けじめ」の中身は明らかにしていないが、希望の党の結党メンバーが念頭にある。その代表格の細野豪志元環境相(46)は新党に関し「理念や政策をねじ曲げて選挙のことを考えて動けば政治家として死ぬ」と記者団に語った。細野氏が新党不参加を表明したことを受けて、ハードルが少し下がったとの見方もある。

 一方、昨年の衆院選前に民進党代表として希望の党への合流を決断した前原誠司元外相(55)は新党参加の意向を周囲に語っている。民進党分裂騒動を引き起こした「戦犯」と見る向きがあるだけに、前原氏の存在が岡田氏らの去就を左右する可能性もあるが、岡田氏の決断が他のメンバーにも影響を与えそうなだけに「政治経験が長いのだから懐の広さがほしいよ…」(民進党幹部)との声も聞こえてくる。

 民進党の参院側では、杉尾秀哉氏(60)が10日に離党届を提出し、立憲民主党に入党した。連合の組織内議員の神本美恵子(70)=日教組=、相原久美子(71)=自治労=両氏らも近く立憲民主党への入党を検討している。

 さらに、小川敏夫参院議員会長(70)は12日の記者会見で、民進、希望両党が大筋合意した新党の基本政策案に反発した。安全保障関連法について「違憲と指摘される部分の削除を含め、必要な見直しを行う」と盛り込んだことに対し、小川氏は違憲部分が明確になっていないことを指摘した上で「党の基本が揺らいでしまうのではないかという評価をせざるを得ない」と述べ、離党も辞さない考えを示唆した。

 新党結成に向けた協議が急ピッチで進む中、そもそも分裂からわずか半年ほどでの合流劇が国民の支持拡大につながるかは疑問だ。内閣支持率は低下傾向にあるにもかかわらず、民進、希望両党の支持率が伸びていないからだ。

 産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、3月の民進の支持率は1・2%、希望は1・4%だった。民進は衆院選直前の昨年10月は0・7%で、その後一度も2%を上回っていない。希望は同月こそ9・5%あったが、最近は1%台に低迷している。両党に、10%台を維持する立憲民主を加えたとしても20%台に届かず、自民の35・4%(3月)に大きく水をあけられている。

 「新しい民主党」を掲げる大塚氏は希望との新党結成について「政治は過去にさかのぼることはできない。現状からどのような新たな展開をつくっていくかということであり、特定のどこかと合流するとかそういう話では一切ない」と述べ、元の鞘に収まるものではないと強調する。

 野党勢力の結集に注力するのは結構だが、政策議論が不十分なところは否めない。新党はいったい何をしようとしているのだろうか。 (政治部 広池慶一)