「宮本から君へ」池松壮亮

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ドラマ「宮本から君へ」主演の俳優、池松壮亮(桐山弘太撮影)

「ものすごく温かいドラマ」

 平成初頭に多くの若者を魅了した名作漫画「宮本から君へ」(新井英樹作)がドラマ化された。主人公で、恋にも仕事にも不器用な営業マン、宮本浩を演じる。

 大卒で都内の文具メーカー「マルキタ」の営業マンになった宮本は、未熟で営業スマイルひとつできず、自分が社会で生きていく意味を思い悩んでいた。そんな宮本が、同期の田島薫(柄本時生)や通勤途中に一目ぼれしたトヨサン自動車の受付嬢、甲田美沙子(華村あすか)らとの恋や仕事を通じ、一人の営業マンとして成長する様子が描かれる。

 「僕にとって、宮本ってヒーローなんですよ。自分も本当はこうありたかったという象徴で」

 こう思えるのは、自身と宮本の間に通ずるものがあるからだろう。撮影は昨年12月までの2カ月間で全て終わったが、キャストやスタッフを含め、「原作を好きな人たちが吸い寄せられて、今回の現場があったような気がする」と振り返る。

 共演者のうち、柄本とは何度も共演経験があるが、その他の出演者は初共演がほとんど。「深夜ドラマでこれだけの熱量をもって2カ月で撮影するのは、正直しんどかった」と苦笑。だが、「共演者の誰かが宮本から受け取った熱を帯びてくれる。そして、その人が疲弊しても今度は、ほかの共演者が熱を帯びて。そういう現場はなかなかない」と、原作に描かれた宮本の熱さが、このドラマを創り上げた面もあるようだ。

 「これまでやった役の中でも、肉体的にも精神的にもギリギリのところでやっていた」と明かす。そんなときでも「宮本は自分がやった役だが、宮本が俺に『笑え、バカヤロー!』と言っている気がして。それがなければ途中でダウンしていたかもしれない」ほどだったという。

 クランクアップでは、相応の達成感と疲労感を得たが、「作り終えるのが仕事ではないので、達成感はまだ」と今後の視聴者の反響に期待する。「自分の俳優人生のポイントになる。27歳でこの作品に出合ったことの意味も感じている」と話し、「決して1クールで忘れられるようなドラマにはしたくない」と、宮本と同じ熱さで語る。「ものすごく温かいドラマ」と表現する今作で、どんな宮本像が描かれるか楽しみだ。=テレビ東京 毎週金曜深夜零時52分から(文化部 兼松康)

 いけまつ・そうすけ 平成2年生まれ。福岡県出身。15年「ラストサムライ」で映画デビュー。26年には「愛の渦」(三浦大輔監督)、「ぼくたちの家族」(石井裕也監督)などの話題作に出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。主演映画「君が君で君だ」が7月に公開。その他「万引き家族」「散り椿」など、出演作の公開が控えている。