【経済インサイド】中国人がビットコインを売り始めた 業者がもうかる構図 - 産経ニュース

【経済インサイド】中国人がビットコインを売り始めた 業者がもうかる構図

G20財務相・中央銀行総裁会議では、仮想通貨への対応などが話し合われた=3月20日、ブエノスアイレス(ロイター)
香港に設置されているビットコインATM(AP)
仮想通貨の代表格「ビットコイン」(ロイター)
カナダにある仮想通貨採掘業者の拠点(ロイター)
仮想通貨ネムの流出事件で、金融庁が検査に入った仮想通貨交換業者コインチェックの本社が入るビルの入り口に掲げられた看板=2月2日、東京都渋谷区(佐藤徳昭撮影)
 インターネット上で取引される仮想通貨の相場が下落トレンドにある。代表的な仮想通貨「ビットコイン(BTC)」の価格は、2月に1BTC=64万円台まで下がる場面もあったが、その後は回復し110万円前後で安定。しかし、ここにきて今年の最安値をうかがう展開になってきた。今後の相場はどうなるのだろうか-。
 「ビットコインはもう終わった」「今後は50万円割れも」
 最近、投資家の間では、こんな悲観的な声がささやかれるようになってきた。
 価格下落の要因の一つは、企業が独自の仮想通貨を発行して資金を調達する新手法「新規仮想通貨公開(ICO)」に対し、世界で規制の網をかける動きが広がっていることだ。
 ICOでは企業が発行する独自の新しい仮想通貨を投資家がビットコインなど広く流通している他の仮想通貨で購入する。ICOが禁じられれば、ICO投資のために購入していたビットコインが不要になるとの理屈だ。
 あるアナリストは「中国が禁止に踏み切ったため、(巨額の資産を持つ)中国人投資家がビットコインを売却し始めた」(証券アナリスト)と指摘する。
 これまで、相場を牽引(けんいん)してきた中国人投資家が離れたこともあり、1日当たりの取引数は、過去最高の1BTC=238万円に高騰した昨年12月の半分程度。人気に陰りが出てきたとされる。
 価格は当面、64万円のラインを死守できるかが注目ポイント。仮に60万円を切る事態になれば、価格の反転上昇はさらに難しくなるとの見方もある。
 ただ、3月にアルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、仮想通貨のマネーロンダリング(資金洗浄)対策を確実に進めることを盛った共同声明が採択された。こうした動きを好感する見方もある。
 大和総研の矢作大祐研究員は「仮想通貨の将来に対し決して悲観的な内容でなく、むしろ健全な市場になるためのポジティブなものだった」と評価。
 共同声明は、仮想通貨のリスクに触れつつも、イノベーション(技術革新)を阻害するものではないなどと否定一辺倒ではなかった。矢作氏は「抜け道とされる新興国も含まれる内容だったため、規制の実効性が期待される」としている。
 こうしたこともあり、今後の見通しについて、矢作氏は「特定の仮想通貨がどうなるかまではみていないが、長い目でみれば、一部の仮想通貨の価格は上昇する」と分析している。
 また、ヤフーや無料通信アプリを運営するLINE(ライン)は仮想通貨交換業への参入を目指しており、「取引量の減少は今後、解消されていく」(エコノミスト)との声も少なくない。
 とはいえ、仮想通貨の相場見通しはあってないようなものだ。経済情勢に大きく左右される米ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均や東京株式市場の日経平均株価とは異なり、仮想通貨の相場は投機的な思惑で動く可能性の方が大きいからだ。
 たとえば、「仮想通貨交換業者が、新たに無名の仮想通貨を取り扱うと表明すれば、それだけで取引量の拡大を期待して相場が上がる仕組み」(金融庁関係者)など業者がもうかる構図ができあがっている。
 公表前の内部情報を基に株式を売買する「インサイダー取引」や、取引などのために虚偽情報を流す「風説の流布」の規制がないのも特徴で、株価のように、異常な暴騰・暴落を防ぐため1日に変動できる上下の幅(値幅制限)もない。これから仮想通貨取引を始めようとする人は、中長期的な資産づくりのための「投資」ではなく、短期的な価格変動で利益を得ようとする「投機」の対象として買うのが賢明なようだ。(経済本部 飯田耕司)
 仮想通貨 インターネット上で取引される財産的な価値がある電子データ。「ビットコイン」「イーサリアム」「リップル」が代表的。円やドルなど法定通貨と異なり、中央銀行のような発行や流通の管理者がいない。商品の購入や送金に利用できるが、投機資金の流入で値動きが激しい。日本は改正資金決済法で仮想通貨交換業者を登録制とした。1月の「ネム」流出事件後には、金融庁が全交換業者へ立ち入り検査を実施する方針を示し、登録申請中を含む一部業者には業務改善命令や業務停止命令を出した。テロ資金の温床となる恐れから、国際的にも規制や監視の強化が検討されている。