【iRONNA発】森友文書改竄 昭恵夫人の国会招致は無理筋、でも… 岩渕美克氏 - 産経ニュース

【iRONNA発】森友文書改竄 昭恵夫人の国会招致は無理筋、でも… 岩渕美克氏

福祉をテーマにした対談会に参加した安倍昭恵首相夫人=3月17日、愛知県東海市
岩渕美克氏
 森友文書改竄(かいざん)をめぐり、佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問が行われた。佐川氏は安倍晋三首相や昭恵夫人の関与を否定したが、野党は激しく反発。引き続き昭恵夫人の喚問を求める構えだ。とはいえ、憶測レベルで政治家の家族を国会招致する必要が本当にあるのか。(iRONNA)
 「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」(日本国憲法第41条)。これが憲法で規定されている、国会の地位と役割である。ここから類推するに、国会での発言は大きな意味を持つ。この地位と役割が今回の問題を大きくしている。
 「官庁の中の官庁」財務省といえども、一省庁が国会の議論に合わせるために公文書を改竄することは考えにくい。とすれば、何らかの理由があるだろう。一般的に知られているのは、佐川氏による一連の国会答弁との矛盾を解消するためだというものだ。だが、決裁が下りて一度は確定したものを、わずかな期間で改竄することがあるのだろうか。たとえ省益や政権を擁護するためであっても、改竄の合理的な理由にはならない。
「官高政低」
 何よりもまず話をややこしくしたのが、安倍首相が昨年2月の衆院予算委で、森友問題に自身や昭恵夫人が関与していれば、「首相も国会議員も辞職する」と発言したことである。
 そもそも、「官高政低」と言われる日本の政治において、政治主導を示すために、内閣人事局や国家戦略特区を設置したのではなかったか。関係の有無はいまだ明らかではないが、内閣人事局の存在が忖度(そんたく)を生んだ可能性も指摘されている。
 さらに問題が複雑化したのは、昭恵夫人を巻き込んだことである。夫人は森友学園の教育方針に賛同し、小学校の建設予定地に足を運んでいる。その結果、新しくできる小学校の名誉校長に一時就任していたことを考えれば、「関与していない」という言葉は空虚に聞こえる。
 政治家の対応に慣れているはずの高級官僚がミスを犯すとは思いたくはない。仮にミスしたとすれば、官僚が今まで慣れていない首相夫人への扱い、とりわけ行動的な昭恵夫人とはいえ、政治に口を出すことは想定外であったのだろう。もちろん、その背景は「安倍一強」体制が盤石であることなどが挙げられるものの、それだけではないはずだ。やはり、昭恵夫人と森友学園前理事長、籠池泰典被告夫妻との付き合いが挙げられよう。
 また、経済産業省から内閣府に出向し、昭恵夫人付となった谷査恵子(さえこ)氏の存在も、夫人との関係で触れないわけにはいかない。彼女は常に昭恵夫人に同行していたようである。しかも、谷氏は理財局側に契約状況などについて問い合わせをしていたという。籠池被告も先日、野党議員との接見で小学校開設の進捗(しんちょく)を夫人や谷氏に随時報告していたと主張している。
 こうなると、昭恵夫人と谷氏との間で、この問題についてどのような会話をしていたのかも気になるところである。谷氏は現在、在イタリア日本大使館に異動しているが、政治的都合による「海外逃亡」にも思える。
「忖度の結果」
 昭恵夫人の行動は、やはり脇が甘かったと言わざるを得ない。森友学園への対応も実態を把握できなかった。この問題がなければ、今でも名誉校長を続けていたのかもしれない。財務省の改竄文書で氏名が削られていることからも、一定の影響力はあったと考えられる。
 今回の問題を総括すると、日本においても首相夫人の地位について規定する必要があろう。そうでなければ、官僚を秘書に付ける必要があるとは思えない。警護対象であっても、税金で雇われている官僚を秘書に付けることとはまた別の話である。
 今回の問題は、官僚による「忖度の結果」だが、首相の国会発言に端を発した以上、なぜ首相夫人の地位を守る必要があったのか、政治的に明らかにすべきだ。また、昭恵夫人も官僚を秘書に付けて行動していた以上、証人喚問は無理筋にしても、必要であれば記者会見を開くべきではないだろうか。
 【プロフィル】岩渕美克(いわぶち・よしかづ) 日大法学部教授。昭和33年、東京都生まれ。慶大大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。専門は政治コミュニケーション。共著に『なぜ日本型統治システムは疲弊したのか』(ミネルヴァ書房)など。
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