圧力、罵詈雑言…安易な内定辞退に感情的に対応する大手企業の実例

プロが指南 就活の極意
企業の合同会社説明会に臨む学生ら=3月1日、東京都文京区

 ここ十数年で新卒の就職活動も大きく変化してきました。就活は、世の経済状況や世相を反映しやすく、内定塾の講師をしている中でも、それを敏感に感じます。バブル期の就活と異なる点として、内定辞退の数が増えたことが挙げられます。バブル期は、数社、場合によっては1社で内定を獲得できる時代でした。しかし、近年は学生の大手志向が強くなった影響で、一部の企業に学生が集中しています。結果として、内定を獲得できない学生が増え、就活生の危機感をあおることになりました。さらに、リーマンショック後は一部の企業が「内定取り消し」をしたため、学生が企業への不信感を募らせました。学生はリスクヘッジのために多くの企業を受け、多くの内定を獲得するという行動に出ました。

 つまり、質より量を求め始めたのです。そして、企業が新卒に求める人物像が似通っている関係で、一部の学生に内定が偏るようになりました。複数社の内定を獲得した学生でも、入社できるのは1社のみのため、他の企業の内定を辞退する必要が出ます。こうして、多数の内定辞退を生み出す状況になりました。

 企業によっては、大手でも6~7割の内定辞退が出ているという話を聞いたことがあります。1年前から莫大(ばくだい)な予算をかけて準備してきた企業にとっては、たまったものではありません。学生が安易に内定を辞退することに対し、企業も感情的に対応するケースが増えています。講師を務める中で聞いた話を紹介します。

 (1)大手金融機関A社に内定辞退を伝えたところ、「どこの企業に行くのか?」と聞かれた。入社予定のB社の社名を伝えたところ、A社の取引先の企業であったため、圧力をかけられた。これにより、A社とB社の内定を失う結果となった。

 (2)大手食品会社C社の内定を辞退したところ、椅子に座らされ、人事担当者数人に1時間にわたって罵詈(ばり)雑言を浴びせられた。

 (3)大手金融機関D社に内定辞退を伝えたところ、その場は一旦保留にさせられた。後日、大学に行くと、人事担当者が校門で待っていた。一緒に教授のところまで案内させられ、教授にあいさつをして帰っていった。お世話になった教授を裏切れず、そのまま入社を決意した。

 このように、企業側も紳士的とはいえない対応をとるケースが増えています。新卒の採用活動が構造的に改革されるか、大手企業入社へのハードルが低くならない限り、“負の連鎖”は続くものと思われます。このような採用活動の欠陥は、学生が無作為に企業を志望することによる「入社後のミスマッチ」まで生み出すようになりました。学生がじっくりと自分に合った企業を探せるようになるためには、企業や学生だけでなく、政府機関も一体となって、改善していく必要があると思います。(「内定塾」講師 齋藤弘透)

 ここ十数年で新卒の就職活動も大きく変化してきました。今年は特に変化の年になります! 東京、名古屋、大阪の主要都市を中心に全国12校舎を持つ就活塾・予備校最大手の「内定塾」講師が週替わりで、就活事情の最前線をご紹介します。

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