【衝撃事件の核心】危険と隣り合わせのすり捜査…東京五輪向け「外国武装すり集団」に警戒も - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】危険と隣り合わせのすり捜査…東京五輪向け「外国武装すり集団」に警戒も

 2020年東京五輪・パラリンピックを前に、警視庁が外国人すり犯の入国に警戒を強めている。過去には博覧会やワールドカップなどの国際イベントに際し、催涙スプレーや刃物を持った「韓国人武装すり集団」が大挙して入国し、全国で被害が多発した。命がけですり捜査に従事してきた警視庁のベテラン捜査員が産経新聞の取材に応じ、すり捜査の“極意”を語った。
危険と隣り合わせ
 「すり捜査は現場が命。靴底を減らして歩き、先輩の技を学ぶものだ」
 警視庁捜査3課で約17年のすり捜査歴を持ち、若手の指導・育成を手がけるベテラン捜査員の男性警部補(52)は、そう説明する。
 捜査は、ベテランの「先生」と後輩の「弟子」の2人一組で行う。被害が起きやすい電車内や駅、ゲームセンターなどをひたすら歩き、1日に2万~3万歩となることもざら。長年の経験から、すり犯が“獲物”を物色する際に見せる独特の目つき「すり眼(がん)」を見極める。
 現行犯逮捕が基本のすり摘発では、逮捕時に相手から攻撃されることもあり、常に危険と隣り合わせだ。実際に、男性警部補には、今も忘れられない事件がある。
 平成9年、当時多発していた韓国人武装すり集団の掃討作戦で、犯人グループの男ら5人を追尾していたときのこと。駅のホームで電車に乗り込もうとしていた妊婦をグループが取り囲み、1人が財布をすり取った。
 「今だ!」。取り押さえようとした瞬間、近くにいた別の男が柳刃包丁を取り出したのだ。
 刃物をよけようとしたはずみで、発車直前の電車とホームの間に落下して体を挟まれてしまった。一緒にいた先輩捜査員は、催涙スプレーを浴びてうずくまっていた。散り散りに逃げていく男たち。電車が動き出す-。
 男性警部補は肋骨(ろっこつ)を骨折する重傷を負ったが、先輩が立ち上がり、電車を急停止させたことで一命を取り留めた。「パパは泥棒に負けちゃったの?」。痛々しい姿を気遣う幼い娘の言葉に、1人になってから涙がこぼれた。その悔しさが、すり捜査一筋の今につながっている。
10%は外国人
 警視庁によると、都内のすりの摘発者数はここ数年減少傾向にあるが、外国人すり犯は10~20人前後で推移。平成25~29年の5年間に都内で摘発した外国人すり犯は、すり犯全体(812人)の9・7%を占めた。全国の刑法犯全体に占める外国人の割合(4・7%、29年版「犯罪白書」より)に比べて高い数値となっている。
 昨年も都内のJR主要駅や電車内、上野・アメ横などの観光地で外国人によるすり被害が続発した。喫茶店などで客の荷物を堂々と物色、その場で財布の中身だけ抜き取って戻すなど「大胆かつ巧妙な手口が特徴」(捜査関係者)という。近年はすり犯の国籍も、以前から多かった中国や韓国といった東アジアに加え、東欧や南米、南アジアなど多様化しているという。
 包丁などの凶器を携えた韓国人武装すり集団の活動は一時、収束をみせたものの、27年にはグループの一部のメンバーが再入国し、全国を移動しながらすりや空き巣を繰り返したとして大阪府警に摘発されている。東京五輪を控え、警視庁は武装すり集団を想定した制圧訓練も実施するなど警戒を強める。「危険なすり集団は再び必ずやってくる。都民の小さな財布を守ってあげられるのは、われわれしかいない」。男性警部補はそう、力を込めた。