【経済インサイド】商品管理の主流は「バーコード」→「ICタグ」へ世代交代!? 最大の課題は価格… - 産経ニュース

【経済インサイド】商品管理の主流は「バーコード」→「ICタグ」へ世代交代!? 最大の課題は価格…

コンビニエンスストアに並んだICタグの付いた商品=2月14日、経済産業省内
コンビニエンスストアに並んだICタグ付きの商品をタブレット端末で検品する関係者=2月14日、経済産業省内
経済産業省内のコンビニエンスストアで購入した商品の決済を終えた世耕弘成経産相=2月14日(代表撮影)
 今やおなじみとなった、あらゆる商品に付いているバーコードが世代交代するかもしれない。経済産業省は2月、価格などの商品情報を記憶した「ICタグ」をコンビニエンスストアの商品に付ける実証実験を東京都内で実施した。買い物かごに入った商品をまとめて精算できるため、利用者はスムーズに買い物を楽しめる。店側にとってもICタグ対応のセルフレジを増やせば人手不足の解消につなげられるほか、在庫管理を効率的にできるなどメリットも大きい。
 「本当に今晩の食事を買いますよ」。
 2月14日の午後6時前、経産省地下1階のコンビニ「ファミリーマート」で世耕弘成経産相は、ICタグの実証実験に参加した。
 ペットボトル飲料などを買い物かごに入れると、専用のセルフレジにそのまま乗せ、電子マネーであっという間に精算。世耕氏は思わず「おおすごい!」と声を漏らし、その利便性に納得の様子だった。
 ICタグは厚さ1ミリ以下と薄いにもかかわらず、ICチップとアンテナを内蔵している。価格のほか、賞味期限、原材料、製造場所や日時など多くの情報を入力でき、商品に貼って管理できる。
 専用の機械(リーダー)を使って、無線により、数メートルの範囲で複数のICタグ情報を瞬時に読み取る。バーコードと違って、一つ一つ情報を読み取る手間がないため、顧客にとっては一瞬で精算できるメリットがある。
 一方、店側も在庫不足や賞味期限切れを一つずつ検品する手間が省ける。また、在庫データを物流業者や食品メーカーと共有すれば、生産・輸送も効率化できるのが特徴だ。
 今回の実証実験は2月14~23日に実施。メーカーも含めた物流網全体で在庫情報などを共有できるかを検証した。経産省は検証の詳細を、5月をめどに報告書にまとめる方針。検証結果をシステムや機器の開発にフィードバックすることで、ICタグの実用化に近づける狙いだ。
 経産省はセブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンなどコンビニ大手5社と協力し、平成37年までに全てのコンビニ商品にICタグを取り付ける目標を掲げる。5社合計の店舗数は5万店規模に達し、全国のコンビニの9割超にあたる。対象の商品は年間で1000億個に達するという。
 経産省は「将来的にはバーコードに代わるものとして、いろいろな商材に使ってほしい」(幹部)と、コンビニでの取り扱いを皮切りに、グループ企業のスーパーやドラッグストアなどにも波及することを期待している。
 ICタグは、既にカジュアル衣料品店「ユニクロ」などでも、取り扱いが始まっている。
 ただ、課題はICタグのコストだ。ICタグはICチップやアンテナで構成され、印刷されたバーコードのように安価というわけにはいかないのだ。
 「ユニクロのように数百円以上の単価の高い衣料品ならICタグのコストを吸収できるが、コンビニは数十円の商品も扱っており、とても吸収できない」。ある大手コンビニの首脳は、こう打ち明ける。
 10年ほど前にはICタグは1枚あたり100円程度だったが、現状では10円前後にまで下落しているという。とはいえ、37年までに「1円以下」になることを想定する経産省の認識と、現在の価格の開きはなお大きい。
 価格を下げるためには、ICタグが普及して大量に生産されなければならない。しかし、ICタグを普及させるには、価格が下がる必要がある。価格が急落すれば、「ICタグを生産しても、うまみがない」と考えて撤退するメーカーが続出してしまう。
 鶏が先か卵が先か-。ICタグ普及に向けては悩みも多い。(経済本部 大柳聡庸)
 ICタグ 情報を記録するICチップ(集積回路)と無線通信用アンテナを組み合わせた小さなタグ(札)。商品に貼れば、小売店のレジでカゴに入れたまま一度に精算することができ、万引対策にも有効。バーコードの10倍以上の情報を記録できるため、生産者の生産・商品情報だけでなく、流通の各段階で入・出庫情報などを追加で書き込むことが可能で、在庫管理の効率化などにもつながる。課題は価格や規格統一、個人情報保護など。商品を購入してICタグを外さずに店舗を出た場合、顧客の行動を追跡する手段となり得るので、プライバシーをどう守るかが議論されている。