平昌の競技施設が早くも閉鎖 五輪後の活用がうまくできて成功といえるが…

スポーツ異聞
平昌五輪でボブスレー、スケルトンが行われた五輪アルペンシア・スライディングセンターは閉幕10日で閉鎖された(早坂洋祐撮影)

 平昌五輪でボブスレー・スケルトン競技が実施された五輪アルペンシア・スライディングセンターが五輪閉幕からわずか10日後の3月7日に閉鎖通知が出されたと韓国メディアが報じた。年間運営費として21億3000万ウォン(約2億1300万円)が予想されているが、政府が予算不足を理由に使用禁止にしたという。五輪後の施設活用計画がうまく運営されてこそ本当に五輪成功と言えるが、同センターは事後計画を立案しきれず、運営主体も決まっていない状況だった。

 中央日報などによると、ボブスレー・スケルトン代表の監督が3月7日、ソウル市内で行われたイベントで、政府予算が不足し、アルペンシア・スライディングセンターが使用できない状況だと明かした。総工費1141億ウォン(約114億円)を掛けて建設された施設を「選手が自由に練習できない」などと嘆いた。来季に向けた練習場を奪われたうえ、大韓体育会は冬季種目選手育成予算の支援を終了しており、同代表候補チームは解散したという。

 韓国では冬季競技の人気が低く、平昌五輪への関心も低かった。しかし、スケルトンでユン・ソンビン(23)が金メダル、男子ボブスレー4人乗りで銀メダルを獲得したことで、平昌五輪が「終わりでなく、始まり」と、今後の競技人口拡大への期待が大きくなっていた。それだけに銀メダリストとなったウォン・ユンジョン(32)は、ようやくソリ競技に対して芽生えた興味が「育つことなく消えるのかと思うと残念でならない」と落胆した。

 韓国では2014年に開催された仁川アジア大会が競技場の建設費用だけで4700億ウォン(約470億円)を投資しながら、まともに事後活用計画が立てられず、赤字を垂れ流している状況が批判されている。

 その反省を踏まえれば、海外でも管理・運営が困難とされるソリ専用トラックの事後活用計画を立案していなかったことの批判は免れない。中央日報によると、世界でこれまで30の施設が建設されたが、うち14カ所が消滅。06年トリノ五輪で使用された施設は毎年200万ドル(約2億1000万円)の運営費を負担できなかったと伝えた。江原道開発公社が15年に試算した結果、アルペンシア・スライディングセンターは年間運営費のうち、予想する一般利用者からの収益金が7億ウォン(約7000万円)であり、年間14億ウォン(約1億4000万円)の損失が生じるという。巨額の赤字が、政府と江原道が事後計画の結論を出せない理由だと中央日報は解説した。

 東亜日報は同センター以外にも事後活用計画が立案されていない施設が2カ所あり、維持費は年間合計約44億ウォン(約4億4000万円)に上ると報じた。江原道は国費の増額を要求したが、政府は難色を示し、協議は難航。最近になって政府と江原道が50%ずつの負担で譲歩する方向性が出されているという。ただ、政府が支援すれば、これまでに世界選手権などを開催し、財政赤字に苦しむ自治体との公平性で議論になる可能性が指摘されている。

 もともと施設が地域人口に対して過剰にあり、維持費を捻出するだけの利用者が見込めないという懸念があった。大会組織委員会の李煕範(イ・ヒボム)委員長は22年に開催される北京五輪で各国の練習拠点として平昌五輪の施設活用を提案するが、中央日報は「財政面で大きなプラスにならない」と否定的だ。

 平昌五輪をめぐっては3年前、財政負担を削減するためにソウル首都圏などでも開く分散開催が大きな話題となった。しかし、韓国政府はこれを拒否し、現在の先行き不透明な事態を招いている。