韓国、五輪「成功」、開幕前からパラも「成功」と自賛するが…待ち受ける難題

スポーツ異聞
IOCのトーマス・バッハ会長(左)と並ぶ平昌五輪大会組織委員会の李煕範委員長。平昌五輪の成功に言及したが、競技場の事後活用法などに課題を残し、今後の対応が注目される(AP)

 2月25日に閉幕した平昌五輪。大会組織委員会の李煕範(イ・ヒボム)委員長は「成功」を高らかに宣言した。入場券が目標値(106万8000枚)に対し100.9%を販売し、当初3000億ウォン(約300億円)と予想された財政赤字の規模は561億ウォン(約56億円)程度に圧縮される見通しだからだ。この実績を踏まえ、3月9日に開幕する平昌パラリンピックに対し、李煕範委員長は入場券がほぼ完売であることを明かし「無難に成功する」と確信している。(※3月3日の記事を再掲載しています)

 ところが、韓国メディアは平昌五輪でチケットが完売したにも関わらず空席が目立ったことを指摘し、予約や約束を軽く考える韓国文化が起因していると分析。パラリンピックでも同様の事態が心配される。さらに過去の五輪開催国はスタジアムの事後活用の赤字に苦しんでおり、平昌五輪でも3施設で活用計画が未定で、年間58億ウォン(約6億円)の赤字が見込まれる。五輪開催地・江原道は政府からの赤字補填を頼みとするが、韓国経済の成長率は今後1.9%と低成長が見込まれ、「問題はこれからだ」と報じられた。

 自国開催となった平昌五輪で、韓国は金メダル8個の目標を掲げたが、5個に終わった。それでも朝鮮日報は「感動のドラマが繰り広げられた」と報じた。さらに、李煕範委員長は入場券が販売目標をクリアし、107万8564枚売れたと発表した。2006年トリノ大会の81%、前回ソチ大会の90%を上回り「冬季五輪で史上最大規模」と評価した。入場料収入は1573億ウォンに上る。

 しかし、この数値を単純に受け入れていいのか、韓国メディアが疑問視している。朝鮮日報は、昨年10月末に31%だったチケット販売率が約1カ月後に53%に跳ね上がった事例を紹介。韓国では大きな国際スポーツ大会が開催されるたびに地方自治体や国営企業、民間企業などが大量にチケットを購入し、空席を埋めてきたことが今回も行われたと指摘した。

 中央日報は平昌五輪で「実際、競技場には空席が多かった」とし、米ニューヨーク・タイムズ、英デイリー・メールなどがチケットが完売とされたのに「観客席は半分も埋まらなかったと指摘した」と伝えた。アルペンスキー男子滑降金メダリスト、アクセルルント・スビンダル(ノルウェー)は観客の少なさを嘆いていた。文化体育観光省が実施した世論調査で競技場で観戦すると回答したのは7.1%に留まっていた。

 「ほぼ完売」と李委員長が明言した平昌パラリンピックの入場券の販売状況(目標数22万枚)を見ると、昨年10月30日時点では4%にとどまり「関心はより低い」と朝鮮日報は伝えていた。2カ月後も37%と低迷したままだったが、今年1月31日には83.2%と急増していた。

 最近の五輪で閉幕後の重要課題となっているスタジアムの活用法に関して、李委員長は4年後の北京五輪に向けて種目別国際連盟(IF)が江陵と平昌に設けられた良い施設を活用できるとし、「強化練習場で施設を多く愛用してもらいたい」と呼びかけた。

 平昌五輪では12カ所の競技場で競技が行われた。このうちスピードスケートを実施した江陵オーバル、アイスホッケーの会場の一つである江陵ホッケーセンター、旌善アルパイン競技場の3つで事後活用法が未定とされる。

 韓国産業戦略研究院によると、主要競技場の管理・運営費は年間89億ウォン(約9億円)が必要だが、期待できる収入は年間31億ウォン(約3億円)だという。年間58億ウォンの赤字が生じるが、財政基盤の脆弱な江原道は対応しきれない。このため事後活用計画が決定できない施設に関しては政府に管理を要請する方針で、そのために国民体育振興法の改正が進められていると中央日報は報じた。

 政府がその財源を支出するには経済的に苦境では難しい。韓国銀行経済研究院がまとめた2016年から25年までの韓国経済の成長率は1.9%に減少すると予測。15~29歳の2017年の失業率は9.9%で2000年の統計開始以降で最悪をマークした。成功したと歓喜する祝祭の後には難題が待ち受けている。