韓国メディアが難癖 IOC選手委員にキム・ヨナが選出されなかった理由

スポーツ異聞
平昌五輪に多大な貢献をしたキム・ヨナは、なぜかIOC選手委員に選出されなかった(納冨康撮影)

 平昌五輪の期間中、国際オリンピック委員会(IOC)はアスリート委員会の新委員に3人を選出した。五輪期間中の恒例行事だが、選出委員をめぐって韓国メディアが沸騰していた。有力候補の1人に平昌五輪で広報大使を務めたキム・ヨナ(27)が下馬評に挙がっていたからだ。ところが、キム・ヨナは選ばれず、空騒ぎとなった。ソウル、平昌と2大会も五輪を開催していながら、五輪運営に意見が反映されるIOC選手委員が1人という現状に韓国の「スポーツ外交」能力の脆弱さを突き付ける形となった。

 IOC選手委員は、五輪参加選手による投票で選ばれる委員と、IOC会長の職権で任命される委員がいる。選挙は夏季、冬季の五輪開催期間中に実施。選手投票ではフィンランドと米国の選手が選出された。IOCのトーマス・バッハ会長が任命したのは、中国の2014年ソチ五輪スピードスケート女子1000メートル金メダリスト、張虹(29)だった。張の前任者は五輪で金2個を含むメダル5個を獲得した中国ショートトラックの楊揚(41)だった。

 この結果に韓国メディアは、世界のスポーツ界でもチャイナパワーが発揮される基盤が整えられたと報じた。

 韓国・ヘラルド経済新聞などによると、韓国では30年ぶりに開催された五輪という一大イベントを利用し、韓国のIOC委員誕生に力を傾注しなければならないという声が高かったという。そこで俎上に上ったのがキム・ヨナである。10年バンクーバー大会金メダル、前回ソチ大会で銀メダルと知名度と実績は抜群。平昌五輪が3回目の挑戦で開催地に選出された11年ダーバンIOC総会でプレゼンテーションを行い、平昌五輪で広報大使を務め、IOCと緊密な関係を続けた点が挙げられた。キム・ヨナ本人は12年7月に現役続行を表明した際、IOC選手委員になりたいと口にしていたことも関係しているようだ。

 ただ、中央日報は当初からキム・ヨナが選出基準を満たしていなかったと伝えた。候補資格である選手委員選挙に出馬した実績がなく、さらに1カ国に選手委員は1人という規定がある。韓国にはアテネ五輪男子卓球金メダル、柳承敏(ユ・スンミン、35)がおり、8年の任期は24年まで残り、それまで他の選手は原則選出されないことになっている。

 ただ、同紙はIOC憲章のIOC選手委員に対する定義が明確でなく、規定集はいつでも変更が可能だと主張し、キム・ヨナが新委員に選出されなかったのは韓国の「スポーツ外交力が足りなかった」ことを要因に挙げた批判が出ていると報じた。

 一方、五輪に多大な貢献をしている国などは1カ国で複数人が選出されている例があるという。今回IOC選手委員に任命された張虹の中国はIOC委員が3人いる。米国も3人、国ぐるみのドーピング問題で平昌五輪は個人資格の出場となったロシアも3人の委員が存在する。ちなみに日本も1人で竹田恒和日本オリンピック委員会会長(70)が務めている。

 IOC選手委員は任期中、選手の意見や考えを五輪活動に反映させる役割を担う。国際スポーツの舞台では各国代表者の発言力が大きくものを言う。国際競技連盟(IF)の役員に、自国人の派遣が求められるゆえんだ。

 韓国では一時3人のIOC委員がおり、国際スポーツ界で大きな発言力を示していた。ところが、絶大な存在感を示したサムスン・グループの創業家の1人、李健煕氏(イ・ゴンヒ、76)が健康を理由に17年8月にIOC委員を辞任。現在は1人だけの状況に影響力の弱体が懸念されている。