「オワコン」のプレ金 もはや“ディスりネタ”で継続か!?

経済インサイド
「プレミアムフライデー」開始1周年を記念したイベントで、テープカットに臨むAKB48の元メンバー渡辺麻友さん(左から2人目)ら=2月23日、東京都港区

 月末の金曜日に仕事を早めに切り上げて、消費喚起と働き方改革推進を目指す「プレミアムフライデー(プレ金)」。政府、経済産業省と経団連が中心となって、昨年2月に、鳴り物入りでスタートした。認知度は数カ月で9割を超え、昨年末には「ユーキャン新語・流行語大賞(現代用語の基礎知識選)」のトップ10にも選ばれた。その一方、プレ金を体験した人は働く人の約1割に過ぎないなど、効果や定着、実現性を疑問視する意見が大勢を占める。もはや「オワコン(終わったコンテンツ)」との指摘が相次ぐ中でも、継続する方針だが、打開に向けた次の一手は一向にみえてこない。

 プレ金2年目突入を記念したイベントが2月最終金曜の23日、国立新美術館(東京都港区)で開かれた。アイドルグループAKB48の元メンバーでタレントの渡辺麻友さん(23)らが参加したほか、企業経営者らがパネルディスカッションした。

 主催者側はプレ金の一層の普及をアピールしたが、実は、イベントで最も盛り上がったのは、プレ金の「ディスりネタ」だった。「ディスる」は英語で否定を意味する接頭語「dis」が語源で、けなしたり否定したりする意味の造語だ。

 パネルディスカッションの後半、プレ金の販売促進活用事例として、プレ金と「ノンフライ麺」を掛けた日清食品のキャンペーン「プレミアムノンフライデー」が紹介された。

 毎月プレ金直前の月~木曜の4日間、インターネットの通信販売(オンラインストア)で「日清ラ王」などのノンフライ麺を20%引きで販売するといった内容だ。

 日清の担当者はキャンペーン説明の冒頭、プレミアムフライデー推進協議会の方々は「実に寛容」と持ち上げた。どういう意味なのかいぶかしんだ矢先、今度は一気にプレ金を“ディスった”。

 キャンペーンは「崖っぷちのプレミアムフライデーを応援する」と明記しているとアピール。確かに、オンラインストアのサイトをみると、手書きの筆跡で「経済産業省ご担当者様へ 崖っぷちのプレミアムフライデー2年目の成功に向けて(ぜったい読んでください!)」と書かれている。

 詳しく読むと、「プレミアムフライデー2年目もこのままでいいのか!? そりゃいいわきゃないよね。」とくさした上で、昼休みに外食して疲れるサラリーマンが多いと指摘。そこで、ノンフライ麺を食べて「昼休みのムダをなくしたら、仕事が効率化するかも」と提案しているのだが、かなり強引な理屈だ。キャンペーン名にも評判の芳しくないプレ金を否定する“ノン”が入っている。

 会場の最前列には、プレ金の旗振り役である経団連の石塚邦雄副会長(三越伊勢丹ホールディングス特別顧問)が座ったほか、経済産業省で、「ミスタープレ金」とも呼ばれる林揚哲流通政策課長らも同席していた。プレ金推進サイドは、このプレゼンに苦笑するしかなく、日清の担当者がいうように“寛容さ”をみせるしかなかった。

 日清はマーケティングに活用しているだけに、半分笑い話で済まされるが、前日の22日には、名古屋市で笑えない出来事があった。

 経団連の首脳らと、東海地方の財界人らが意見を交わす「東海地域経済懇談会」終了後の記者会見。経団連の榊原定征会長や愛知県経済界トップの一人である名古屋商工会議所の山本亜土会頭(名古屋鉄道会長)らが出席した。

 山本氏は記者からプレ金への受け止めを聞かれると、「(榊原)会長の隣では発言しづらいが、名古屋ではそんなもの、まだあったのかという感じだ」と、プレ金が全く浸透せず、既に終わったイベントとの認識を示した。報道陣からは失笑が漏れたが、地方のプレ金への厳しい見方が示された形だ。「認知度9割、実施率1割」のギャップがプレ金の最大の課題であることを示している。

 関係者からは「とにかく実施することが必要」という切実な声も聞かれる。

 ただ、旗振り役である経産省にしても、経団連の役員企業にしても、フレックスタイムなどを活用して、従業員一人一人の判断で早帰りするよう求めるだけで、組織的な対応は取られていない。

 それだけに、関係者からは1年目の初回のプレ金だけでも、「組織的な早帰りを各社で取り組めなかったのか」との恨み節も聞こえてくる。

 インターネット上では「今年(平成29年)の最大のオワコン」といった表現も目立つ中、もはやディスりネタで、プレ金の認知度を維持するしかなのかもしれない。(経済本部 平尾孝)