野菜高騰のウラで急増していた中国野菜の輸入 安全性は大丈夫か?

経済インサイド

 国産野菜の生育不良に伴う価格高騰で、キャベツなど葉物野菜の輸入が激増している。それで価格が抑えられれば、消費者にとっては歓迎すべき話なのだが、実は、輸入量の9割以上を占めるのは残留農薬問題のイメージが根強く残る中国産だ。食の安全は確保できるのか、気になる人も多いだろう。。

 農林水産省が2月に実施したスーパーなど量販店の価格調査では、1キロ当たりの全国平均価格は、ハクサイが386円、キャベツが455円、レタスが1048円とそれぞれ平年の2倍前後も値上がりしている。同省によると、3月後半もハクサイとキャベツは高値水準で推移、レタスは平年並みに戻るという。

 これに対し、1月の輸入野菜の価格はハクサイが46円、キャベツは43円、レタスは143円で、国産に比べて7分の1~10分の1程度と、かなり安い。同省によると、キャベツなど葉物野菜は傷みやすく輸送コストもかさむため、スーパーなどで販売されている商品は国産が主流だ。輸入品は、野菜を大量に使用する加工食品や外食といった業務用の不足を補うために使われているという。この冬は国産の高値が続き、業務用を中心に安い輸入品が流れたようだ。

 東京税関の統計では、1月のキャベツ輸入量は前年同月比約6倍の1360トンに膨らんだ。ハクサイは約8倍の221トン、レタスも約2倍の伸びだ。

 とはいえ、冷凍毒餃子、メラミン混入粉ミルク、段ボール肉まん、汚染米、残留農薬…。中国産食材による食の安全性が脅かされた多くの問題からか、いまだに中国産を避ける日本の消費者は多いとみられる。

 平成28年2月に東京都が公表した「食品の購買意識に関する世論調査報告書」では、輸入生鮮食品の安全性については8割が「不安がある」と答えた。

 そうした消費者心理をあおるように、微小な粒子状の大気汚染物質である「PM2.5」による土壌汚染や偽装問題などと絡め、中国産食材の危険性を大々的に報じるインターネットニュースは今も数多い。今冬の輸入増についても、根菜類に比べて農薬が残留しやすい葉物野菜の輸入が増えていることを問題視する記事もあった。

 中国産野菜の安全性について、農水省や厚生労働省は、14年の中国産野菜に基準値を超える農薬が残留した問題後、輸入品への監視体制や対策を強化し、安全性を確保しているとしている。

 現在、中国では輸出食品に対して、生産、加工、流通までの一連の工程を国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)が一元管理し、原料の生産業者、製造・加工業者の登録、輸出前検査を実施。さらに、日本政府はAQSIQとの情報交換を密にし、対日輸出食品の安全性問題に迅速対応できるよう、在北京日本大使館に食品安全の専門家を配置。水際対策にも配慮していると胸を張る。

 また、26年度に中国から輸入された食品については、70万3053件の輸入届け出件数に対して202件の食品衛生法違反があり、違反率は0.03%。全輸出国における違反率は0.04%で、中国からの輸入食品の違反率が特に高い状況ではないと説明する。

 だが、日本の検疫体制の甘さを指摘する専門家もいる。昨年8月に厚労省が発表した「輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果」によると、28年度の輸入食品の検査率はわずか8.4%で、9割以上の輸入食品が無検査で輸入されているという。

 さらに、この検査率は年々低下傾向にある。20年度に約13%だった検査率はこの8年間で約5%も低下。輸入食品の急増に対し、国の輸入食品検査体制が追いついていない現状が問題視されているのだ。

 厚労省は、こうした指摘に対し、「食品衛生法違反を一定の確率で把握できるよう、食品群(171分類)や検査項目(動物用医薬品、残留農薬、添加物など)ごとに統計学的な考え方に基づいて年間計画を定めて検査している」と説明。「検査の結果、法違反の可能性が高いと判断される食品については、輸入の都度、全ロット検査をするよう輸入業者に命じ、食品衛生法に違反する食品が輸入されないよう取り組んでいる」とするが、いまいち要領を得ない説明だ。

 4割を切る食料自給率の日本では、既に大半の食料を輸入に頼っており、輸入食材を完全に避けるのは難しいのが現実でもある。(経済本部 西村利也)