【衝撃事件の核心】カネの切れ目が縁の切れ目 学生狙ったマルチ商法グループの末路 - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】カネの切れ目が縁の切れ目 学生狙ったマルチ商法グループの末路

学生を狙った悪質なマルチ商法を行っていた「iXS」が入居する雑居ビル=東京都豊島区(画像の一部を加工しています)
 「紹介したいバイトがあるんだけど」「とりあえず池袋に来てくれればいいから」-。マルチ商法であることを隠して学生らを勧誘したなどとして、消費者庁は2月20日、ビジネススクール「FGN」を運営する「iXS」(東京都豊島区)に対し、特定商取引法違反による6カ月の一部業務停止を命じた。被害者の大半は首都圏に住む未成年者で、その数は400人超に上るとみられている。同社をめぐっては、仲間内の金銭トラブルを発端とした窃盗・監禁事件で、昨年12月以降に警視庁が同社役員ら男女計9人を逮捕する事態に。学生らをターゲットにしたマルチ商法グループは、金の切れ目が縁の切れ目となる末路を迎えた。(※3月3日の記事を再掲載しています)
お粗末すぎる商材
 「月々2万1600円払っても黒字になる」。同社はビジネススクールの会員勧誘を名目に、甘い言葉で学生たちを次々と引き込んでいた。入会金は5万~10万円、月謝は2万円(いずれも税別)で、新たな会員を勧誘すれば紹介料2万~5万円が手に入ると説明。しかし、実際に“黒字”になった会員は1割程度しかいなかった。
 学生の無知につけこむ手口は度を越していた。入会金を用意できない学生に対しては、「みんな借りてきているから」と学生ローンを利用するよう誘導し、会員が同行して借り入れをさせた上で契約。さらに未成年者に保護者同意書を渡し、「今の親の人たちはこういうビジネスにあまりいい意見を持たない。自分でぱぱっと書いちゃって」とそそのかし、保護者の署名を偽造させていたという。
 肝心のビジネススクールの内容は、「メルカリでの転売の仕方」「FX(外国替証拠金取引)や仮想通貨の指南」「ネットでものを売る方法」といったお粗末なもの。ネット上で会社の悪評が広まると、社名を変更して勧誘を続けていた。
 消費者庁によると、全国の消費生活センターに寄せられた被害相談は413件(1月20日現在)。東京都内が177件で最も多く、首都圏の被害相談が大半を占めていた。年齢別では、18歳が29・1%、19歳が55・9%と未成年者だけで85%に達しており、マルチ商法の知識に乏しい学生を食い物にしていた実態が浮き彫りとなっている。
“内ゲバ”で終止符
 悪質な勧誘などに終止符を打ったのは、仲間内でのカネをめぐるトラブルだった。同社元代表取締役の男(26)=窃盗容疑などで逮捕=は、自身が経営する別会社の事務所から現金1600万円が盗まれたとして、昨年12月に警視庁に届け出。その後、仲間の元取締役の男(23)=監禁罪で起訴、保釈中=が盗んだと疑い、部下らに指示して自宅マンションから現金650万円を盗ませた。元取締役の男も窃盗の実行犯らを監禁するなどしており、今年2月までに窃盗・監禁事件に関わったとして、20代の男女計9人が警視庁に逮捕された。
 同社では、無料通信アプリ「LINE(ライン)」などを使って友人を勧誘するよう指南しており、学生たちが受けた被害は金銭的なものだけにとどまらない。かけがえのない人間関係を壊す悪質マルチ商法に、消費者庁では「紹介料目当てで友人を勧誘すると、新たな消費者被害が起きてしまう。『必ずもうかる』という甘い話はきっぱりと断って」と注意を呼びかけている。
【用語解説】マルチ商法 ある販売組織の加入者が別の消費者に商品を売って組織に加入させてマージンを受け取り、その加入者も他の者を次々と組織に加入させることにより、販売組織を拡大させていく販売方法。金品の受け渡しを目的とした「ねずみ講」と異なり、マルチ商法そのものが犯罪ではないが、勧誘前に入会金などの負担が伴うことを告げないといった行為は特定商取引法で規制されている。