鳴り物で中国に移籍のカルロス・テベス 活躍せず1年で帰国 「ホームシック少年」

スポーツ異聞
中国サッカーの水が合わず、テベスは1年で古巣ボカ・ジュニアーズに帰った(AP)

 サッカーの元アルゼンチン代表FWカルロス・テベス(34)が鳴り物入りで2017年シーズンに移籍した中国スーパーリーグを1年で離脱。母国1部リーグの名門ボカ・ジュニアーズに18年1月に復帰したが、中国ファンはけがや体調不良で期待を裏切る体たらくぶりに幻滅している。テベスが中国時代の7カ月を「休暇」と冗談めかしたことで怒りに拍車をかけていた。急成長した企業の収益で世界のスター選手を買い漁ってきた中国リーグだが、外国人選手の獲得に莫大な税金が課されるようになり、爆買いが鳴りを潜める遠因になったようだ。

 テベスは2016年12月、移籍金200万ユーロ(約2億6600万円)、年俸4000万ユーロ(約53億3300万円)でボカ・ジュニアーズから中国スーパーリーグの上海申花へ移籍した。週給73万ユーロ(約9730万円)は当時、世界最高と報じられ、注目を集めた。17年1月に中国・上海に到着した際は空港に数百人のファンが詰めかけ、期待の高さを示した。

 ところが、18年1月、アルゼンチンのテレビ局のインタビューで「中国に降り立った瞬間にはボカへ帰りたくなっていた」と明かしたように、中国の食事や風習などの文化も相まって上海申花になじめなかった。30試合のリーグ戦のうち出場したのは16試合。しかも4得点しか挙げられなかった。このほかにカップ戦に3試合、アジア・チャンピオンズリーグ戦に1試合出場したが、ともに無得点に終わった。年俸から単純計算した1試合当たりの単価は200万ユーロ、1得点当たり1000万ユーロ(約13億3330万円)となり、費用対効果のコストパフォーマンスの悪さばかりが目立つ結果となった。

 チームのファンはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に「最悪な外国人選手に最も高い給与を支払った」などと書き込んだ。故障や食生活など中国の環境になじめなかったテベスは、ことあるごとにアルゼンチンに帰りたいと口にしたことから「ホームシック少年」とありがたくないレッテルを貼られたと海外メディアは伝える。蜜月期間は3カ月しか続かなかった。

 テベスと上海申花の契約はあと1年を残していたが、移籍金は生じず、厄介払いされた格好だ。

 英BBCはテベスの今回のボカ・ジュニアーズの移籍に関して、アルゼンチンの英雄、ディエゴ・マラドーナが「彼はサンタの袋にドルを詰めてボカに戻った」とし、復帰を歓迎。テベスは「(中国で)7カ月の休暇を過ごした後だから調子は良い」とうそぶいた。実際、1月28日のボカ復帰戦では90分出場して1ゴールを演出し、2-0の勝利に貢献。英デイリー・メール紙によると、テベスは「私は生きていると感じ、すべての時間を楽しんでいる。苦しむ自分は僕自身が見たくない」などと語った。

 テベスが中国に移籍した2017年の中国スーパーリーグで各クラブが移籍市場に投じた総額は3億8800万ユーロ(約517億3300万円)で過去最高に上った。ただ、この爆買いによって、国内の若手の出場機会が奪われかねず、選手育成には弊害になると懸念が生じた。このため、中国サッカー協会は昨年5月、国外選手の獲得には実質100%の税金を課す規定を施行。昨夏の移籍市場では支出が大幅に抑制されたと海外メディアは報じた。

 中国では、サッカーファンである習近平国家主席が昨年6月、国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長との会談で、ワールドカップ(W杯)を中国に招致したいとの希望を表明した。2016年には習氏の肝いりで「中国サッカー中長期発展計画」(2050年まで)を発表。サッカー強化が国家の長期計画に組み入れられたが、自国選手を強化しなければ、習氏が唱える「W杯優勝」は真の夢物語に過ぎなくなる。英BBC放送は2017年3月、中国サッカーがW杯を制するには1000年かかると報じた。

 テベスも最高な選手が中国に来たとしても、50年かかっても欧州の強豪チームと渡り合えるようになるとは思えないと中国サッカーの質の低さを訴えているという。

 ■カルロス・テベス(Carlos Tevez)1984年2月5日生まれ。元アルゼンチン代FW。8歳でユースチーム、17歳でボカ・ジュニアーズに入り、すぐさま先発。2006年からはプレミアリーグに移籍しウエストハムなどでプレー。13年にはドイツ1部のユベントスに移った。15年に一旦古巣に復帰。16年に53億円超で中国・上海申花に入ったが1年で契約解消、再度ボカに戻った。代表では06年と10年のW杯には出場したが、以降はW杯には招集されていない。