世界的に波紋広がるF1・グリッドガール廃止 「フェミニストが仕事奪う」と反発も

スポーツ異聞
2017年5月のF1シリーズ、モナコ・グランプリの会場で華を添えたグリッドガールたち(AP)

 自動車レースの最高峰・F1で、2017年に商業権を得たリバティメディア(米国)は1月31日、18年シーズンからF1カーの横でネームボードやレーサーナンバーの入ったボードなどを掲げる「グリッドガール」を廃止すると発表し、世界的に波紋を広げている。「現代の社会的規範にそぐわない」というのが理由だ。フェミニスト団体が数年前から廃止を訴えてきた。ところが、当事者のグリッドガールは「多くの女性から仕事を奪っている」などと反発。好きな仕事を続ける権利のために断固闘うとSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への書き込みもあった。

 米USA TODAY紙、英インディペンデント紙など欧米のメディアがF1の「グリッドガール」の廃止をこぞって報じた。興行主のリバティメディアは、露出度の高い女性がレース前にスタート地点付近を歩き回る習慣が「現代社会の規範と全く矛盾していると感じる」と運営責任者として説明した。フェミニスト団体は、スポーツ界が女性を単なる「飾り物」として扱ってきたなどと主張。インディペンデント紙は、プロのダーツ組織が選手を舞台へ誘導する女性の使用を取りやめたことを発表した数日後に決定が下されたとし、グリッドガール廃止に影響を及ぼしたと報じた。

 米FOXニュースは、15年の中国GPで優勝したルイス・ハミルトン(33、英国)が表彰式のシャンパンファイトでグリッドガールの顔にシャンパンをかけた行為が性的差別と批判を浴びたことが欧米で廃止論が高まったと紹介した。別のメディアは、普段は上海で不動産会社に勤めるこの女性が「別に気にしていない」と答えたとした。

 FIA(国際自動車連盟)世界耐久選手権では15年からグリッドガールを原則廃止。ジェラール・ヌーブCEO(最高経営責任者)は「現代では社会における女性の地位が少々違っているから」とロイター通信のインタビューに答えている。電気自動車フォーミュラカーによるフォーミュラE選手権では17年から起用を取りやめている。

 英紙ザ・サンによると、今回のF1のグリッドガール廃止に関して、長年、F1で興行主を務めたバーニー・エクレストン氏は「この国(米国)は今、少し上品ぶったところが増している」などと批判。ドライバーも観客もグリッドガールに好意的で「誰も問題視していない」などと述べ、その存在はモータースポーツ文化の一部だと指摘した。

 グリッドガールの一部は同じような意見を持っている。欧米のメディアは彼女たちのツイッターに書き込んだ意見を紹介した。「私たちの仕事を批判する権利はフェミニストたちはもちろん、誰にもありません」とし、「率直に言えば、彼らは大勢の女性から仕事を奪っている」とした。また、5年間グリッドガールだったという女性は「この状況を阻止しなければ」とし、グリッドガールもチア…もいなくなることを危惧した上で、「どの職場で愛する仕事を続けていくのかを決める権利のために闘います」と書き込んだ。

 ちなみに、グリッドガールはレース主催者が国内のモデル事務所などを通じて志望者を募る。日本のレースクイーンのようにスポンサーをアピールするコスチュームを着てサーキットに彩りを添えるのとは形態が違うが、日本にも波及すると予想するメディアもあった。

 一方で、英国の辣腕ボクシングプロモーターであり、マネジャーのエディー・ハーン氏(38)は「ボクシングの歴史の一部となってきた」としてラウンドガールがいなくなることはないと強調したと海外メディアは伝えている。