「会話殺人者」の特徴を浮き彫りに ネットの処世術、米ミシガン大が巨大掲示板で分析

びっくりサイエンス
英語圏の“2ちゃんねる”ともいわれる掲示板「Reddit(レディット)」のトップページ

 掲示板や仲間内のメーリングリスト、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで、自分が投稿したことで座をしらけさせ、会話を終わらせてしまっているのでは…。そんな不安を感じたことはないだろうか。意図せず最後の投稿者になるのは気分のいいものではなく、英語では「カンバセーション・キラー(会話殺人者)」という言葉もあるそうだ。

 米ミシガン大の梅●(=にんべんに趙のつくり)竹(メイ・チャオジュウ)准教授らのチームは、人工知能(AI)を用いて、英語版の巨大掲示板に上がっている投稿データを分析し、会話を終わらせてしまうNGワードなどの特徴を調べた。これら注意事項を守れば、殺し屋の汚名も返上できるかもしれない。論文は、コーネル大図書館が運営する論文投稿サイト「アーカイブ」上で発表された。

英語版2ちゃんねるを調査

 掲示板やSNSなどは、趣味や関心が近い人同士の情報交換に使われるほか、企業のマーケティングにも活用されており、いかに会話を盛り上げて進行させるかという研究も盛んに行われている。一方、梅准教授らのチームは、どんな投稿が会話を冷え込ませているかという逆の観点からアプローチ。英語圏の大手掲示板、Reddit(レディット)に上がっている約6万3000トピックの投稿データを調べた。

 分析には、自然言語処理の研究で一般的に使われるリカレント・ニューラル・ネットワーク(RNN)というAI技術を活用。掲示板の一連の投稿を一つの会話とみなして扱うため、混在する長い会話と短い会話を同列に比較できるようにし、テキストから語気を荒らげているかどうかなど感情レベルも読み取れるように改良した。

長い投稿の効果は…

 掲示板のやりとりと、自然言語処理の研究でよく使われる映画の中の会話とで結果を比較したところ、「○○さん」という丁寧な呼びかけや「…と聞いた」「見た」などの単語は会話を盛り上げ、「ばか野郎」「おまえ」などの無礼な単語は冷やす効果があることが共通していた。

 一方で掲示板と映画で効果が逆転するケースもあった。たとえば、映画では長い発言が会話を終わらせることが多いのに対し、掲示板では短い投稿が会話を終わらせていた。掲示板では、長い投稿が次の投稿を誘う効果があるようだ。

 また、映画では否定的な内容の発言で会話が終わることが多いが、掲示板では肯定的な意見が出てくると会話が終わる傾向もみられた。これは、政治の議論などでも、攻撃的で無礼な意見が別の否定的な返答を呼ぶことがよくみられるので直感的に分かりやすいだろう。肯定的な意見ということは満足できる回答が得られたということなので会話が終わりやすいようだ。

 ただ、注意しなければならないのは、こうした場合に自分の投稿が最後にならないように長引かせるのは「良い体験」にはならないはずだということだ。最終投稿者になることをやむなしとすべき場合もあることは踏まえた方がいい。

 研究チームのAIは、テキスト文から感情を読み出すのを得意とする。掲示板では強い語気を持つようなテキストは会話を終わらせる傾向が強く、問いかけるような言葉があると会話は続いた。

 前の投稿から時間がたった投稿も最後になりやすかった。つまり、他の人が投稿したら、あまり間を空けずに投稿しないと最終投稿になる可能性が高い。

活気のない投稿もNG

 多くの掲示板では、「分からない」「思いつかない」といった漠然としたトーンの投稿で終わっていた。こうした投稿は、みんなが話題への興味を失ったという印象を与え、投稿を終わらせる傾向があるようだ。

 研究チームでは、これらの分析結果は、掲示板やSNSなどオンラインでの会話の質を向上させることに役立ち、ユーザーの会話への関与も高められるとしている。いずれ、SNSなどのアプリに、送信を押す前にアドバイスを与え、最終投稿者になるのを防いでくれる機能が当たり前に搭載される時代がくるのかもしれない。(科学部 原田成樹)