宇宙から資源探査 高性能センサー「ひすい」開発大詰め 他国に先駆け鉱区取得

びっくりサイエンス
ハイパースペクトルセンサー「ひすい」の完成予想図。石油などの資源探査に用いる(宇宙システム開発利用推進機構提供)

 資源が少ない日本にとって、石油などの安定供給が脅かされることは死活問題だ。鉱区の取得をはじめとした激しい国際競争で勝ち抜くには先手を打たねばならず、有力な手段として宇宙からの資源探査が期待されている。今後の鍵を握るのが、経済産業省が主導して平成31年度の打ち上げを目指す世界最高レベルのハイパースペクトルセンサー「ひすい」だ。(※1月20日の記事を再掲載しています)

 ひすいは大きさが縦約150センチ、横約1メートル、高さ約140センチで直方体に近く、重さは約170キロ。経産省の委託を受けた宇宙システム開発利用推進機構(JSS)を通じ、NECやIHIエアロスペースが中心となって完成を目指している。開発費としては、少なくとも30年度までに150億円程度が投入される見通しだ。

 完成後は米国の物資補給機ドラゴンで宇宙に運ばれ、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」の船外実験施設に設置される。高度約400キロの軌道上から、地表面を幅約20キロの帯状でなめるように“スキャン”し、20メートル×31メートルの区画ごとに地質構造などの情報を取得する。

 世の中に存在する物質は、それぞれ固有の波長域の光を吸収する性質を持っている。ひすいは地表で反射した太陽光を軌道上で観測し、地表で吸収されて減少した波長域を調べることで、さまざまな場所の地質を見分けていく。

 経産省の計画で特に重視しているのは石油探査だ。石油がたまりやすい地層は、周辺の鉱物などから見分けることができる。取得した地質データは国内の石油会社などに提供され、その後の精密探査や鉱区取得につながっていく。

 日本が行う宇宙からの資源探査は、ひすいが初めてではない。11年には、米国の人工衛星「テラ(Terra)」と相乗りする形で打ち上げた光学センサー「アスター(ASTER)」の運用を開始。中東地域をはじめ、インドネシアやロシアのサハリン(樺太)などで鉱区取得や鉱区内での採掘候補地の絞り込みなどに役立てられた。アスターは現在も運用されているが、既に5年間の設計寿命を大幅に超えている。

 ひすいはアスターに比べ、光の波長を見分ける能力が13倍にも達し、地表にどのような物質があるかをほぼ断定可能だ。経産省は、年間約1800枚の画像を石油資源の探査に活用することで、探知能力の大幅な向上につながるとしている。

 周辺の地質を探査に活用できるのは石油だけではない。天然ガスや金銀銅、一部のレアメタルといった鉱物資源も同様で、鉱床の有力候補地の絞り込みに向けたひすいの活用が期待されている。ただし、探査できるのは陸上に限られる。

 経産省の担当者は「国際競争が激しいなか、探査の効率化は資源の確保に役立つ」と指摘。「日本の石(国石)」とされる「翡翠(ヒスイ)」の名を冠したセンサーが、成果を上げて輝く日に向け、準備作業は大詰めを迎えている。(科学部 小野晋史)