競泳・小関也朱篤選手のケースで考えた 暴力は絶対反対、だが…

スポーツ異聞
競泳の男子平泳ぎで日本代表の小関にも暴力問題が発生した(川口良介撮影)

 「ちーがーうーだーろ!」。「2017ユーキャン新語・流行語」に入った前衆議院議員のセリフを思い出してしまった。

 2016年リオデジャネイロ五輪代表で競泳男子平泳ぎの小関也朱篤(やすひろ)選手(25)の「暴力行為」問題である。

 1月11日夜に、共同通信が配信、産経新聞など加盟紙など各紙が翌12日付の紙面で掲載。テレビのニュースでも流れたから、ご記憶の方も多いだろう。

 記事などによると、昨年11~12月、スペインで行われた日本代表の高地合宿で、同じチーム所属の天井翼(あまい・つばさ)選手(23)が炊事当番に遅れてきたことに腹を立て、腹部と顎(あご)を1度ずつ殴った。天井選手は顎に違和感が残ったが、骨折はしていないという。小関選手はすぐに天井選手へ謝罪、和解したという。

 遅れてきた理由は天井選手が練習後にサッカーに興じて炊事当番に遅れたためとされている。サッカーといっても、トレーニングの一環ではなく、いわば遊びの一種でしかなさそうだ。それが、原因で、他の多くの選手たちに迷惑をかけた。その点は、明らかに天井選手に非がある。ただし、天井選手は遅刻の認識を否定している。

 ところが、“暴力”を振るったとされる小関選手には厳罰というべきものが所属するミキハウスから下された。今年3月末までの対外試合出場自粛と日本代表活動の辞退、減俸などの処分である。対外試合に出られないとなると、代表クラスの選手にとって、大きなダメージになるはずだ。

 もっとも、小関選手のダメージはこれだけでは済まない。何しろ、全国のさまざまなメディアのニュースでこの件が報じられているからだ。被害届が提出されているわけでも、警察が捜査に乗り出しているわけでもない。小関選手の身内も肩身の狭い思いをせねばならない。

 確かに、暴力は絶対に許されない。そんなことは子供でも分かることだ。ただし、小関選手が“暴力”を振るうようになった経緯、ないしは、やりとりがなく、この記事のままでは分かりづらい。

 それでは、どうするのが正解だったのだろうか? 23歳にもなった立派な大人に、優しく「サッカーしていては駄目だよ。なぜならね…」と諭してあげるのが良かったのか? それで天井選手は“更正”できただろうか?

 最近、スポーツ選手の暴力や不祥事が相次いでいる。

 大相撲では元横綱日馬富士の暴行問題。酒の席で、日馬富士はカラオケのリモコンで同じモンゴル出身で後輩の貴ノ岩を殴った。鳥取県警が捜査に乗り出し、日馬富士を書類送検した。

 カヌー・スプリントの鈴木康大選手が、禁止薬物をライバル選手の飲料水に混入させ、ライバル選手が出場停止処分される(後に解除)という前代未聞の不祥事が起きた。

 これは、明らかに悪質。鈴木選手はライバル選手の物品などを隠すなど、もはや、スポーツの域を超えたレベルの事件へと発展している。

■小関也朱篤(こせき・やすひろ) 1992年3月14日、山形県生まれ。日体大に進学後、平泳ぎに転向して力をつけ、北島康介と競り合うまでに成長。卒業後はミキハウスに所属し、16年の日本選手権で100メートルと200メートルで優勝し、リオ五輪代表入り。リオでは100メートルで6位、200メートルで5位、400メートルメドレーリレーで5位に入賞。17年の世界水泳では200メートルで銀メダルに輝いた。188センチ、80キロ。