少女を殺そうとした朝日販売店の28歳 座間9遺体事件の影響を本当に受けていないのか

衝撃事件の核心

 「座間の事件をまねしたわけではない」-。ツイッターに自殺願望を書き込んだ少女を誘拐して首を絞めたなどとして、1月3日に警視庁八王子署に殺人未遂などの容疑で逮捕された朝日新聞販売所従業員、斎藤一成容疑者(28)。その供述とは裏腹に、ツイッターに自殺願望を書き込んだ若者が次々と殺害された座間9遺体事件が明るみに出たのと同時期、斎藤容疑者のものとみられるツイッターのアカウントからは、複数の自殺志願者にメッセージが送られていた。“第2の座間事件”につながった可能性もあり、同署が慎重に捜査を続けている。

複数の少女にメッセージ

 「一緒に行ける相手は見つかりましたか? 部屋も空いてますので一度現実逃避を出来ます」

 座間事件発覚から10日ほど過ぎた昨年11月10日、ツイッターで「#自殺願望」のハッシュタグをつけた「中学2年の女」の投稿に対し、斎藤容疑者のものとみられるアカウントから、自宅に誘い込むかのような返信があった。同じアカウントからはこの時期、同様のメッセージが計4人の自殺志願者に送られていた。

 「一緒に楽になりましょう」「よければ話しましょう」…。斎藤容疑者は寄り添うような優しい口調でメッセージを送り、今回被害に遭った少女とも知り合ったとみられている。

 今月2日の夕方、少女を勤務先の販売店の寮である自宅アパートに連れ込んだ斎藤容疑者は、首を手やビニールひもで絞めて殺害しようとした後、意識がもうろうとした状態の少女に乱暴。翌3日、少女は斎藤容疑者が仕事に出かけた隙にアパートから逃げ出し、携帯に着信のあった父親と連絡を取って保護された。

 八王子署の調べに対し、斎藤容疑者は「殺してほしいと言われたので殺そうと思った。少女の目的を遂げてあげたかった」などと供述。アパートの部屋からは犯行に使用したとみられるビニールひもやはさみなどが押収された。

まねではないというが、酷似する手口

 昨年10月末に発覚した座間9遺体事件では、殺人容疑などで逮捕された白石隆浩容疑者(27)が、ツイッターで自殺願望を書き込んだ女性らにメッセージを送り、次々と自宅に連れ込んで殺害したとみられている。「自殺を手伝う」などと言って誘い出す方法や、ロープを使って首を絞める手口は、今回の事件と酷似している。

 こうした手口の詳細が報道で明らかになったのは、被害者全員の身元が判明した11月中旬以降。斎藤容疑者がツイッターで複数の自殺志願者らにメッセージを送った時期と重なる。

 一方で、座間市の事件では、白石容疑者が遺体切断用ののこぎりや切断した頭部を入れるクーラーボックスを事前に購入するなど、殺害後の遺体の処分方法まで考慮していたことがうかがえたが、斎藤容疑者の自宅からはそうした道具や、目立った刃物は見つかっていないという。捜査関係者は「ツイッターで自殺志願者と知り合う手口は似通っているが、斎藤容疑者は殺害後のことまでは真剣に考えていなかったのでは」と首をひねるが、その真意はいまだ不明だ。

少女標的相次ぐ

 警察庁の発表によると、インターネットの交流サイト(SNS)を利用して犯罪に巻き込まれた18歳未満の子供は昨年1~6月で919人と過去最多を記録。中でもツイッターに起因した被害は327人で、全体の3分の1を占めている。

 こうしたSNSの“闇”が浮き彫りとなった座間事件以降も、ツイッター上で自殺や家出などの願望を書き込んだ少女が犯罪被害にあうケースは相次いでいる。昨年11月23日には、ツイッターで「家出をしたい」と書き込んだ10代前半の少女を自宅に連れ込んだとして、わいせつ目的誘拐の容疑で、札幌市の会社員の30代の男が北海道警に逮捕された。

 斎藤容疑者はツイッター上で自分を「両声類」と称し、ぬいぐるみの画像や、少女のような高い声で歌う自身のカラオケ動画を投稿。ツイッターを始める以前には、中高生限定のSNSを利用していた形跡もあり、女子中高生に強い興味があったとみられる。

 「座間市の事件に何らかの影響を受けて、少女を興味の対象から、犯罪の標的に変えた可能性は否定できない」(捜査関係者)。男の闇の解明が進んでいる。