国民は知らされていない?野党第一党・立民代表が定例会見を開いていないこと 弱点が原因か

野党ウオッチ
平成28年8月、自民党新執行部らのあいさつを受け、笑顔で見送る当時民進党の(左から)枝野幸男幹事長、蓮舫代表代行、長妻昭代表代行。今や全員が立憲民主党だ=国会内(斎藤良雄撮影)

 枝野幸男代表(53)率いる立憲民主党の勢いが止まらない。1月13、14両日に共同通信社が実施した世論調査では、前月比0・2ポイント増の12・7%、昨年12月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査は13・9%で、死に体と化した民進党を見限った代表経験者の蓮舫氏(50)らを取り込み、衆参合計でも野党第一党になった。

 理念や政策を曲げず他党との単純な数合わせに走らぬ姿勢は他党幹部からも礼賛の声が上がる。希望の党などの支持率が低迷する中、野党勢力は立憲民主党のひとり勝ち状態だ。ただ、執行部をみれば、東日本大震災と原発事故対応で迷走した菅直人政権=「悪夢のオールスター」が居並ぶ上、メディアをはじめ他党からの賛美が相次ぐ立憲民主党の「筋を通した」姿勢には疑問視すべき点が多々あることを指摘したい。

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 「終わった話だと思っているので、われわれを巻き込まないでいただきたい」

 枝野氏は1月4日の年頭記者会見で、民進党が呼びかける立憲民主、希望両党の統一会派構想にくみしない考えを重ねて強調した。安全保障法制や憲法改正議論といった主要政策をめぐり考えの異なる政党との会派結成は、社民党の又市征治幹事長(73)が「数合わせ」と断じるように批判を浴びても仕方ないだろう。

 枝野氏は希望の党との政策の違いを理由に掲げ、独立独歩の姿勢を貫く。その姿は共感を呼んでいるようで、支持率は1%台に低迷する民進党や希望の党を尻目におおむね10%以上を堅持する。

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 昨年の9月28日。民進党本部5階は万雷の拍手に包まれていた。来る衆院選を前に前原誠司前代表(55)が両院議員総会に提案した希望の党への合流が満場一致で認められたのだ。

 「日本の政治にとって大きな転換点になる。前原代表をはじめ、全員がそのことを納得をして、前に進もうと決めました」

 総会後に高揚感をにじませながらこう記者団に語った男性は、安倍晋三政権に「何でも反対」の民進党の体質に嫌気がさした保守系議員ではない。現在、立憲民主党の幹事長を務める福山哲郎参院議員(55)その人である。

 福山氏が当時希望の党代表だった小池百合子東京都知事(65)と政策面で相いれないことは、この時点で百も承知だったはずだ。小池氏は両院議員総会前日の27日、BSフジ番組で「リアルな形での安全保障政策をしたい」「広く憲法改正についていろんな条項に対しての議論を健全に進めるべきだ」と語り、安保法制について党の現実路線に賛同する議員のみに衆院選の公認を与える考えを示唆していた。いわゆる「排除」発言が出たのは29日のことだった。

 福山氏は平成27年の安全保障関連法案の採決をめぐり民主党(当時)の幹事長代理として先頭に立って反対した人物だ。異論の声を上げず、合流に賛同した福山氏の姿勢に鼻白むのは筆者だけではないだろう。

 この記事は単純に立憲民主党をおとしめるためのものではない。党の名誉のために言えば、希望の党との政策の違いを理由に、いち早く無所属で先の衆院選を戦うというリスクある決断を下した逢坂誠二氏(58)のように、筋を通した議員も存在する。

 ただ、枝野氏をはじめ多くの現立憲民主党の幹部は両院議員総会で黙して語らずだった。党籍を移して「小池旋風」に乗っかろうという前原氏の提案に追従した面々も立憲民主党に存在しているという事実は改めて指摘しておきたい。

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 立憲民主党は主要野党の中で唯一、原則として毎週同じ曜日に行う党首による定例記者会見を開いていない。枝野氏は菅政権の官房長官時代、記者クラブに所属していない記者にも参加を認める「記者会見のオープン化」を行い、情報発信には力を入れてきた人物である。随時記者団の取材には応じるが、定例の記者会見は開かない理由を昨年12月の外国人特派員協会の会見で、こう説明していた。

 「自民党総裁、野党第一党の会見の頻度は同じぐらいあるべきだ」

 さらに、枝野氏は記者席に向かって「ぜひ同じ質問を自民党総裁にもしてください」と挑発した。国政を預かる首相(自民党総裁)の多忙さは野党第一党党首のそれとは比較にならないのは言うまでもない。野党の仕事は情報を発信してナンボである。現に枝野氏も所属し、幹事長まで務めた民進党は野党第一党として民主党時代から代表の定例記者会見を実施してきた。記者会見を開かない枝野氏の説明に関して、希望の党幹部はこう吐き捨てた。

 「へ理屈も甚だしい。そんなにつつかれるのがイヤなのかね」

 ツイッターなどSNSといった発信媒体を立憲民主党は大いに活用する一方で定例記者会見を開かない。その本当の理由は記者団から指摘されたくない事実があるからではないかと勘ぐるのは、希望の党幹部だけであろうか。

 立憲民主党支持層のいわゆる「市民」を自称する人たちは「情報公開」や「説明責任」を金科玉条のごとく守っている。党首が定例の記者会見をしていないことを熱心な支持者は、どう思っているのか。立憲民主党だけ定例記者会見を開いていないことを永田町の住人をのぞいて知らないのかもしれない。

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 立憲民主党が抱える弱点に、男女間のスキャンダルを抱える所属議員の割合が高いことが挙げられる。

 先の衆院選に立憲民主党公認で立候補し、初当選を果たした弁護士の青山雅幸衆院議員(55)は直後の昨年10月末、「週刊文春」で弁護士事務所の元秘書へのセクハラ疑惑が報じられた。執行部は疑惑を追及される前に、電光石火のごとく青山氏を無期限の党員資格停止処分とした。

 ちなみに青山氏のホームページには、いまだに「立憲民主党」のロゴが掲げられている。党員資格を停止していてもロゴを掲載するのはOKなのだろうか。法律の専門家である弁護士なのだから、まさかそんなことはしないだろう。単なる消し忘れだろうが、国民にまるで立憲民主党の国会議員であるかのような疑念を抱かせることになりやしないか。

 初鹿明博衆院議員(48)も衆院選直後、維新の党時代の平成27年5月にタクシーの車内で知人女性にわいせつ行為を働こうとしたことが同じく“文春砲”で暴露された。立憲民主党執行部は6カ月間の役職停止処分を下した。

 初鹿氏は民進党時代の28年末、女性を強引にラブホテルに連れこもうとしたことを「週刊新潮」に報じられ、党青年局長を辞任した。初鹿氏が新潮の直撃取材に「ホテル行こうって、相手もいいって言ったからね」「みんな奥さん以外に、はけ口を求めていると思うよ」と答えたことに、当時代表だった蓮舫氏は「非常に遺憾だ。女性に対する言動(として適切)ではない」と激怒した。

 不倫で衆院議員を辞職した自民党の宮崎謙介氏(36)を公然と批判して、自身の疑惑に対しては「むき出しの好奇心」(神奈川新聞のインタビュー)などと答えた山尾志桜里衆院議員(43)も、いつの間にやら立憲民主党の所属議員である。

 立憲民主党の公式ツイッターは、元TBS記者に対する伊藤詩織さんのレイプ被害告発問題を頻繁に取り上げ、関心の高さが伺える。追及はおおいに結構だが、党が本腰で取り組んだら、“ブーメラン”となって跳ね返ってこないか。

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 立憲民主党は民進党と一線を画す立ち位置を取るが、森友・加計学園をめぐる問題に熱心なのは民進党時代から変わらない。ただ、半年以上も国会で疑惑追及にいそしんでも、安倍首相の不正な関与の証拠は見いだすことができなかった決まりの悪さからか、トーンは民進党時代に比べて若干下がっている。

 「予算委員会も連日開かれて、その問題だけではない。報道量が多いから、それだけみたいなイメージなんだ」

 長妻昭代表代行(57)は昨年11月のBS番組でこう訴え、立憲民主党の国会質疑が森友・加計学園問題に偏重していないと強弁したが、苦しい言い訳に過ぎない。

 立憲民主党として国会での初陣となった昨年11月27、28両日の衆院予算委員会では、長妻氏をはじめ4人が計3時間20分質問した。このうち森友・加計学園問題をめぐる質疑は2時間超で、およそ3分の2の時間を費やしたことになる。

 28日の予算委で立憲民主党議員に続いて質問に立った希望の党の長島昭久政調会長(55)は、北朝鮮の暴発リスクへの日本政府の備えについてただした。北朝鮮情勢の緊迫化をめぐり政府の備えについて安倍首相を詰問する長島氏の姿を見れば、立憲民主党の所属議員がいかに安倍政権打倒ありきで「モリ・カケ」を重視している姿勢であるかが印象づけられる。

 枝野氏は今月11日、日教組の会合で憲法9条の改正に関して「集団的自衛権の一部行使容認という立憲主義に違反し、憲法にも違反をする。これを前提にして9条には絶対に手を触れさせてはならない。これは一切妥協なく徹底して貫いて参りたい」と述べ、安倍首相が提案した自衛隊の存在明記にかたくなな姿勢を示している。民進党の岡田克也氏(64)、蓮舫氏の民進党代表経験者に続く「反安倍」ありきがこの政党の実相ではないかと思わざるを得ない。

 長妻氏は年明け、「平成の次の時代、立憲民主党が日本を良くする」との表題でネットメディアに論文を投稿した。立憲民主党が政権交代を果たしうるとの認識を示したものだ。とはいえ、立憲民主党の要職は最高顧問の菅元首相(71)をはじめ、官房長官だった枝野氏、厚生労働相だった長妻氏、官房副長官だった福山氏、経済産業相だった海江田万里最高顧問(68)、首相補佐官だった辻元清美国対委員長(57)といった具合に菅政権の経験者が居並ぶ。そこに行政刷新担当相だった蓮舫氏が新たに加わった。

 菅政権といえば、東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所事故への対応で不手際が相次いで被災地から批判を浴び、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件では、逮捕した船長の不自然な釈放と衝突ビデオの非公開などで国家運営能力の欠如を物語った政権である。立憲民主党がメディアからもてはやされている昨今だが、野党時代に菅政権で露呈した無能ぶりを改善した兆しはあったのだろうか。 (政治部 奥原慎平)