韓国の野球代表監督「100年に1人出るかの選手」 べた褒めされた大谷翔平

スポーツ異聞
2018年シーズンは米大リーグ、エンゼルスでプレーする大谷翔平。韓国でも注目度は高い(共同)

 野球が「国技」と称される韓国。野球の本場、米大リーグに2017年シーズンは6人を送り込んでいたが、18年シーズンには大幅に減る見通しで「冷たい風が吹く見込みだ」(中央日報)と嘆いている。

 対照的に、日本からはヤンキースの田中将大(29)やダルビッシュ有(31)、イチロー(44)、前田健太(29)ら活況を呈し、「薫風が吹いている」(中央日報)とうらやんでいる。特に18年からポスティングシステムでエンゼルスに移籍する大谷翔平(23)に対しては日本並みに移籍の動向を報じたほど。2015年11月に開催された国際野球大会「プレミア12」で韓国打線が完璧に抑えられて以降、素晴らしき“好敵手”として力量差を認め、何かにつけて韓国メディアは報道してきた。野球の代表監督は「100年に1人出るかどうかの選手」とべた褒めで、米国でも「二刀流」は成功すると太鼓判を押した。

 2017年シーズンに大リーグの舞台を踏んだ韓国人選手は、投手で阪神でも活躍した呉昇桓(カージナルス)ら2人、野手では秋信守(レンジャーズ)ら4人の計6人だった。ところが、黄載釣、朴炳鎬が成績不振で韓国リーグに復帰することを決断。さらに35歳の秋には絶えずトレード説が飛び交い、シーズン後にFA(フリーエージェント)宣言した金賢洙だが、移籍先が決まらず、韓国リーグへの復帰を選択。呉昇桓も退団が有力視されていると中央日報は伝える。

 大リーグ側から見れば、助っ人の外国人は成績不振では容赦なく“お払い箱”の憂き目に遭う。

 そんな逆境を払拭し、スカッと胸のつかえが取れる報道として、大谷の大リーグ移籍が詳細に報じられた。米国と日本のポスティングシステムによると、大谷を獲得した球団は日本ハムに最大で2000万ドル(約23億円)の譲渡金を支払う。また、25歳未満の外国人選手を対象に年俸と契約金の額を制限する規定があり、大谷の18年の年俸は500万ドル(約5億6500万円)を超えない見通し。獲得にかかる費用はそれほど高くなく、30球団が関心を示した。

 ところが、大谷の意向は「二刀流」の成長であり、金額的な問題ではなかった。書類選考で7球団に絞った中に名門ヤンキースは外れ、ゼネラルマネジャー(GM)は驚きを隠しきれなかった。朝鮮日報は、著名な大リーグ・コラムニストが「『一部の大リーグ幹部たちは大谷選手の意思決定過程に腹を立て、挫折感を感じている』と伝えた」と報じた。さらに球団の一部から「もてあそばれているのでは」という不快感を示したことまでも取り上げていた。

 大谷がエンゼルスを選択すると、中央日報は「なぜエンゼルスを選択したのか」と題し、「最も大きな理由は投打兼業(二刀流のこと)ができる環境のためと考えられる」と伝えた。朝鮮日報は「米国でも二刀流は成功するか」とした記事を掲載。日本プロ野球で初めて10勝、10本塁打を記録したことを挙げながらも、「メジャーリーグでも、このような『二刀流』が通じるかは疑問である」と指摘した。

 そんな懐疑的な韓国メディアに対して、「100年に1人出るかどうかの選手」とべた褒めなのが韓国の野球代表監督の宣銅烈(54)。自らが投手出身なのを挙げ、大谷が投手に集中するのが「正しいこと」と思うとしながら「もったいない」とし、「多分、野手出身の人だったら(大谷は)もっと打つと言うだろう」と指摘した。打者として打率3割、本塁打30本を打ち、投手として160キロ以上のボールを投げて2桁の勝利を「達成できるだろう」と評価した。

 宣監督は1996年から4年間、中日でプレーした経験があり、162試合に登板し10勝4敗98セーブの成績を挙げた。2015年11月のプレミア12では韓国代表の投手コーチを務め、準決勝の韓国戦では大谷が七回まで1安打無失点。しかも85球しか要していなかったことで、きりきり舞いさせられたという実体験を踏まえた評価といえる。

 韓国のネットユーザーも宣監督の評価は正しいと賛同しつつも、日本人にとっては大谷の流出が残念なことだとした。