「排除された者の集まり」立憲民主に「二重」「不倫」の不安定要因 どうなる強気の膨張路線

野党ウオッチ
記者会見で新党「立憲民主党」の結成を表明した枝野幸男氏=平成29年10月2日、東京都千代田区(福島範和撮影) 

 野党連携をめぐり立憲民主党の独自路線が際立っている。丸ごと党同士の統一会派や合流を視野に入れた動きとは一線を画し、議員個人の“一本釣り”で膨張している。昨年末には衆参合計の所属議員数で民進党を抜き、名実ともに野党第一党に躍り出た。枝野幸男代表(53)は「永田町の数合わせには加わらない」と公言しているが、巨大与党に対抗するためには野党のまとまりが必要なのも事実で、どこまで強気の姿勢を貫けるか。今月召集の通常国会が正念場となる。

 「立憲民主党は希望の党とは理念、政策が異なるとして設立された政党であり、統一会派は組めない。希望の党とは組まないことを確認していただきたい」

 昨年12月26日、立憲民主党の福山哲郎幹事長(55)は国会内で、民進党、希望の党、立憲民主党の3党による統一会派結成の申し入れに訪れた民進党の増子輝彦幹事長(70)に対しこう述べ、逆に注文を突きつけた。

 福山氏は増子氏との会談後、記者団に「われわれは3党での統一会派は目指さないので、そこは立場が明確に異なる」と強調した。さらに申し入れを持ち帰り党内で議論することすら「考えていない」と突き放した上で「われわれもこの問題で時間をかけるつもりは全くないので、早く回答してほしい」と民進党側に迫った。

 そもそも「排除された側」が立ち上げた立憲民主党が、「排除した側」の希望の党との統一会派に後ろ向きなのは自明のことだった。枝野氏も周囲に「もし民進党がうちと希望の党の両方に申し入れをするなら、申し入れ自体受けない」と語っていた。

 それでも立憲民主党側が一応テーブルに着いたのは「長年一緒に活動してきた民進党の仲間が時間をかけて議論した結果を受けてのものなので、そこを真摯に受け止めた」(福山氏)からだった。まさに「武士の情け」ともいえる理由で、離党ドミノに歯止めがかからない民進党と、その離党者を引き入れて拡大する立憲民主党との勢いの差を象徴していた。

 民進党系の再結集をかたくなに拒否し、独自路線で強気の姿勢を貫くのは民進党時代の反省と比較的高い支持率が背景にある。

 民進党は内部で意見対立を抱え、先の衆院選直前に最終的に分裂し、結果として与党を利することとなった。このため立憲民主党は「理念、政策の一致」を強調する。枝野氏は「立憲主義やそれに関連する安全保障法制について違う考え方の人が少なからずいる政党と統一会派を組んだり一つの党になったりすればそれこそ野合になる」と戒めを込めて語る。まるで自身が幹事長だった当時の民進党も同じだったことは眼中にないようだ。その過去を教訓としているのかもしれないが…。

 いずれにせよ立憲民主党には一定の期待もあるようだ。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)による昨年12月の合同世論調査での支持率は13・9%だった。希望の党(2・3%)や民進党(1・8%)に比べればはるかに高い水準にある。ただ、同年11月の前回調査(15・3%)からは下がっている。他の世論調査では一桁に落ち込んでいる結果もあり、衆院選躍進の熱は冷めつつある。

 支持率の低下にさらに拍車をかける可能性があるのが蓮舫元民進党代表(50)と、無所属ながら立憲民主党会派に所属していた山尾志桜里衆院議員(43)の入党だ。

 蓮舫氏は代表辞任を表明した約5カ月前まで先頭で党の再生を唱えてきただけに、ここにきての立憲民主党への入党は「投げ出し」「無責任」とのそしりを免れず、立憲民主党へのイメージにも影響しそうだ。

 蓮舫氏は入党にあたり記者団に「民進党の政策とほぼ同じ立憲民主党の側に立つことによって民進党と途中で合流して、一緒に頂上を目指すことができるのではという判断をした」と語った。つまり、将来的な立憲民主党と民進党の統一会派結成に向けて自分が橋渡し役を担うというのだ。

 しかし、立憲民主党は他党との統一会派結成自体に否定的な態度をとり続けている。枝野氏は「他の党や会派と協議、調整、すり合わせをして大きくなるということは意味が違うと考えている。もし立憲民主党の考え方がいいと思っているのなら、入党するなり立憲民主党の会派に入ってもらいたい」と繰り返し語っている。蓮舫氏とは立場が異なっており、今後党内で意見の対立が顕在化する可能性もある。

 蓮舫氏は昨年12月28日に立憲民主党への入党が正式に決まったが、その時点で民進党への離党届は受理されていない状態だった。一時的ではあろうが、「二重党籍」なのだ。政党交付金は毎年1月1日時点の衆参両院議員数などから算定されるため、立憲民主党は入党手続きを急いだとみられる。蓮舫氏にはなぜか「二重~」がつきまとう。

 蓮舫氏の入党決定について、民進党の大塚耕平代表(58)は記者会見で「公党間の暗黙の紳士協定という観点から言えば、こちらの処理が終わっていない段階で入党届を受け取るのは思うところがある」と不快感を示し、ゴタゴタ感の残る離党・入党劇となった。

 山尾氏にいたっては既婚の男性弁護士との不倫疑惑について説明が不十分だとの声は根強い。さらには衆院選後にその男性弁護士を自らの政策顧問に起用。まるで開き直ったかのような行動には賛否両論あり、今後山尾氏の存在が立憲民主党にとって混乱の火だねとなりかねない。

 野党第一党として政権与党といかに対峙していくか。そのためには野党共闘が鍵となるが、まずは通常国会が最初の試金石となる。ただ、国会対策では不安要素が目立つ。昨年11~12月の特別国会では衆院と参院で野党第一党が異なったため、野党間で衆参の意思疎通がうまくいかずに混乱を来すこともあった。

 通常国会でも枠組みは変わらず、衆院の野党第一党は立憲民主党、参院は民進党のままとなりそうだ。立憲民主党の辻元清美国対委員長(57)は、通常国会では野党6党の国対委員長が週に1回集まって意見交換する「野党国対連絡会」を設置する考えを示している。自民、公明両党が国会開会中に同じく週1回開催している幹事長・国対委員長会談(通称:2幹2国)をイメージしているというが、果たしてどこまで機能するか、野党第一党としての立憲民主党のリーダーシップが問われそうだ。 (政治部 小沢慶太)