「家庭画報」1月号、書店で完売続出の事態!付録「将棋盤・駒セット」が中高年マダムにヒット

 
「家庭画報」付録の将棋盤と駒のセット。赤い矢印で動かし方がわかる駒が特徴だ

 創刊60年の老舗婦人誌「家庭画報」(世界文化社)が12月発売の1月号で初めて「将棋」を特集し、初心者向けの紙の将棋盤・駒セットを付録にしたところ、書店で完売が続出するなど売れ行きが好調だという。公式戦最多29連勝を達成した最年少棋士、藤井聡太四段(15)の鮮烈デビューや、「ひふみん」こと加藤一二三(ひふみ)九段(77)のユニークなキャラクターにお茶の間がくぎ付けになった2017年。同誌の主な読者層である、生活にゆとりのある中高年マダムにも、空前の将棋ブームは確実に波及しているようだ。

売り上げ6割増

 「新年に親子で、おじいちゃんおばあちゃんと孫で使ってもらいたいと願い、将棋盤と駒セットを付録にしました」

 秋山和輝編集長はこう狙いを説明する。

 同誌によれば藤井四段が将棋のとりこになったきっかけも、5歳の時に買ってもらったばかりの将棋セットで祖母と対戦し勝った(!)ことなのだそう。将棋盤の付録はもちろん婦人誌初の試みだが、日本将棋連盟監修によるもので、通常の盤の70%のサイズ。「飛車」は縦、横に何マスでも動かせるが「歩兵」は前に1マスしか動けないなど、初心者でも駒の動かし方がわかるよう、駒に赤い矢印が入っているのが特徴だ。

 発売直後2週間の売り上げで比べると、1月号は前月号より6割増。各誌が豪華さを競う新年号は売れる傾向にあったが、「出版不況で今年は軒並み苦戦。その中で家庭画報はかなり健闘している」(出版関係者)という。

 「予想通り、将棋に注目している読者世代の女性は多かった。加えて、今回初めて家庭画報を購入された方、特に男性の方が多く手に取ってくださったようです」と秋山編集長。

羽生夫人のSNSも後押し

 特に後押ししたのが、発売後の12月5日、羽生善治(はぶ・よしはる)棋聖(47)が竜王を奪取し、史上初の「永世七冠」を達成したビッグニュースだ。

 同誌では、羽生棋聖・竜王のインタビューだけでなく、彼が“聖地”として話題になった東京・千駄ヶ谷の将棋会館を案内する記事も掲載。「タイムリーで話題性の高い特集として、多くの方に注目してもらえた」と振り返る。

 「羽生棋聖の奥様や、今回ご登場くださった棋士の皆様がSNSで記事を宣伝してくださったことも好調の要因」(秋山編集長)と“内助の功”を含む将棋界のバックアップも大きかったようだ。

 将棋界のレジェンド、加藤九段や、ニックネームが「貴族」の佐藤天彦名人(29)、若手実力派の中村太地王座(29)にもインタビュー。今年の顔、藤井四段がいかに強くなったのかをひもとく記事も。

婦人誌ならではの語り口

 専門誌や新聞には見られない、婦人誌ならではの切り口、語り口が面白い。羽生棋聖は将棋にも流行があるとし、女性にもわかりやすくファッションになぞらえて説明。また、加藤九段は77歳まで現役を続けることができた背景に、迷わず「妻の支援」を挙げる。

 特に注目したいのが、佐藤名人の自宅だ。ボルドーとゴールドを基調に、古典的な家具を配した優雅な空間は、まさに「貴族」の邸宅! もともと中世・近世の西洋文化が好きで、ファッションやクラシック音楽も愛好する名人は、家庭画報の読者と最も親和性の高い棋士といえる。今後もマダムたちの熱い注目を集めそうだ。(文化部 黒沢綾子)