御用納めの日に2歳馬GIは成功か? 1年納めを有馬から変えたJRAの皮算用は…

スポーツ異聞
中央競馬で2017年最後のGⅠレース、ホープフルステークスを制したタイムフライヤー騎乗のC・デムーロ騎手(右)とプレゼンターの武田玲奈さんが握手(白石智彦撮影)

 クリスマスイブの12月24日に行われた有馬記念では1番人気のキタサンブラック(牡5歳)が快勝。引退レースを白星で飾り、オーナーで歌手の北島三郎さん(81)も「まつり」を熱唱し、メデタシメデタシ…。来年は金杯から…といかなかったのが、2017年の中央競馬だった。

 よりによって、12月28日の御用納めの日、しかも平日(木曜日)だというのに、日本中央競馬会(JRA)は「ホープフルステークス」というGIレースを番組に組み入れたのである。出走対象は2歳馬で、距離は芝の2000メートル。昨年までGIIだったグレードから昇格させ、有馬記念と同じ千葉県船橋市の中山競馬場での開催となった。天気が良く、自宅近くなので出かけてみた。

 中山競馬場の最寄り駅、JR武蔵野線の船橋法典駅には午後1時に到着した。有馬記念の開催日はキタサン人気も手伝って10万人が来場し、大混雑だった。だが、この日は電車内に混雑はなく、船橋法典駅でも人はまばら。地下道ではなく、木下(きおろし)街道を進む。10分ほどで中山競馬場に到着した。正門近くで、200円を支払って入場券を購入。警備員による荷物チェック後、競馬場内に入った。

 入場券は販売しているが、ゴンドラ席など指定席はすべて「満席」の表示が出ていた。どんな人たちがいるのか、と興味が湧く。

 場内はそれなりの混雑ぶり。あちこちで、競馬新聞をにらみながら、マークシート方式の馬券購入券を鉛筆で塗りつぶしている。シルバー世代も多いが、若いグループやカップルらも目につく。中山競馬場には何度も足を運んでおり、有馬記念や皐月賞ほどの大レースには及ばないものの、日曜日のそこそこのレースぐらいの混みようだと感じた。

 JRAはなぜ2歳馬のGIを新設したのか? 有馬記念が1年納めのラストレースでいいのではないかと疑問が湧く。年末に、地方競馬の東京大賞典が大井競馬場で開催され、かなりの売り上げがある。それが欲しくなったのではないか。

 そんなうがったことを考えているうちに、時計を見ると午後3時近くになった。せっかく来たのだから、馬券を買わない手はない。まだ成長しきっていない2歳馬だけにどの馬を買うか判断が難しいところだが、キタサンで株を上げた武豊騎手に賭けてみる。

 〔8〕枠(15)番のジャンダルム。米国で生まれ、国内に持ち込まれた外国産の牡馬だ。新馬戦、デイリー杯2歳ステークス(GII)と2連勝中だ。競馬新聞には「スプリンター系統」とあるが、距離適性は走ってみないと分からない。あのキタサンブラックも母系の血統に短距離で強さを発揮したサクラバクシンオーがおり、長距離の適性を疑問視された。なので短距離系でも2000メートルまでならこなせるはずだとみた。

 直前のオッズでは単勝で6倍見当。買うなら単勝と決めていたが(相手が分からないため)、2000円にするか、3000円か迷ったあげく、2000円にした。忘年会続きで懐が寂しい事情もある。

 午後3時半、GIファンファーレが高らかに奏でられ、ムードが高まる中、レースが始まる。スタンドには、そこそこの観衆が。わがジャンダルムは中団を追走し、4コーナーでは先頭をうかがう。思わず「タケ、行けー」と叫んでしまう。お、やったか、と思ったのも束の間、C・デムーロ騎乗の1番人気タイムフライヤーにものすごい末脚を使われ、2着。「くそ」と思わず声に出してしまった。

 気になるレースの売り上げは、初の平日開催にもかかわらず、112億4769万4500円にも上った。

 GIIだった昨年と単純比較はできないものの、362.9%の大幅増だった。もっとも、2歳GIでは阪神JF(119億893万9200円)、朝日杯FS(133億9761万2200円)という伝統レースを下回った。この日、中山競馬場の入場人員は3万77人だったが、これも、かなり少ないといっていい数字だろう。

 ホープフルステークスをこの時期に持ってきて成功だったか否かは微妙といえる。

 もっともJRAの今年の総売り上げ(海外を除く)は、昨年比102.9%となる2兆7476億6248万4800円。6年連続の増収とあっては、JRAの“勝利”といっても過言ではないだろう。

■日本中央競馬会(JRA) 1954年9月、日本中央競馬会法により国営競馬を引き継ぐ形で設立。政府の全額出資による特殊法人。全国10カ所の競馬場で中央競馬を開催するとともに、競走馬の育成、調教師や騎手の免許交付などを行っている。国民的レジャーの提供としての競馬を目指している。