座間9遺体 今も女性に「会いたい」と言わせる白石隆浩容疑者の巧妙手口

2017ネット騒がしたニュース
白石隆浩容疑者(ツイッターから)

 「白石に会いたい-」。神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件は発覚から約2カ月がたつが、今もツイッターにこう書き込む女性がいる。殺人容疑などで逮捕されている白石隆浩容疑者(27)は、ツイッターで自殺願望を書き込んだ女性らに「自殺を手伝う」などと持ちかけて自宅へ連れ込み、次々と殺害していたとされる。白石容疑者はなぜ短期間に何人もの女性を誘い出すことに成功したのか。どのように女性らの信頼を得ていったのか-。ツイッターのやり取りや白石容疑者の過去のエピソードなどからは、その巧妙なテクニックの一端が浮かんでくる。

「悩み気づいてくれた」

 「白石に会いたいです。会いたい。会いたい」

 殺害された女性らと同様にツイッターで白石容疑者と知り合い、事件発覚直前までやり取りを続けていた千葉県の女性(21)は11月中旬、ツイッターにこんな書き込みをした。

 「電話して笑いあってた時間が懐かしすぎる…あの頃に戻って、また話したいな」

 「いつもわたしの悩みに瞬時に気づいてくれたのは白石隆浩」

 こうした書き込みは、12月に入っても続いている。

 女性は事件発覚直後、産経新聞などの取材に応じ、白石容疑者から「殺してあげる」と言われたり、家に誘われたりしたことなどを告白。「自分が10人目の被害者になっていたかもしれない」と動揺した様子で打ち明けていた。

 それなのに、なぜ今になって「会いたい」という心境になったのか。一度も会ったことのない異性、ましてや連続殺人の容疑者なのに…。逮捕されてもなお、女性の中で膨らみ続ける「白石隆浩」とは、一体どんな存在感を女性に与えていたのだろうか。

「聞き役」演じ

 白石容疑者は過去、女性をキャバクラや性風俗店などに紹介することで報酬を得る「スカウト」をしていた。

 当時を知る知人らによると、女性を“商品”としか見ないスカウトが多い中、白石容疑者は女性の相談に乗ったり、遠方の店に入る女性を駅まで見送ったりと、「気遣いができるスカウトだった」(知人)という。

 しかし事件では、白石容疑者はこうした女性の心をつかむテクニックを悪用していた疑いがある。

 白石容疑者は事件前、ツイッターで「首吊(つ)り士」など複数のアカウントを開設。首つりや自殺に関する豊富な知識を披露し、相手を気遣うような丁寧な口調で、「聞き役」に徹していた。

 最後に殺害されたとみられる東京都八王子市の女性(23)は、9月下旬に白石容疑者と初めてツイッターで連絡を取ってから、約1カ月後に接触するまでに100回以上やり取りを繰り返していた。

 女性は一時、自殺願望を投稿したアカウントを削除しようとするなど揺れ動いていたが、最終的には「迷いがあって、返信を遅らせてしまいました。まだ決行可能でしょうか?」と自分から連絡を取り、これに白石容疑者が即座に反応。その日のうちに女性を自宅へ連れ込み、殺害したとみられる。

 また、横浜市の女性(25)は10月下旬、「死にたい。もう疲れた」などとツイッターに投稿。白石容疑者はその約50分後に「一緒に死にませんか」などと返信し、40回ほどやり取りを継続。待ち合わせの日時や時間を設定し、翌日には会う約束を取り付けていた。

 こうした様子からは、女性にすぐに返信したり、会うことを無理強いしなかったりと、女性を安心させるための手口が見える。

寂しい女性たち

 かつて自殺願望があったという女性(29)は「寂しさや、人生が思い通りにいかない辛さを抱え、他人とつながることで一時でも癒やされたいと考えている女性は多いと思う。そんな時、すぐに返信をくれたり、相談に乗ってアドバイスをくれたりする男性は信頼できると感じてしまう」と、被害に遭った女性らの気持ちを察した。

 実際、白石容疑者は調べに「被害者の中に、本当に死にたいと思っている人はいなかった。ただ話を聞いてほしいだけだと感じた」などと供述。女性の心情を理解した上で、金銭目的などで殺害を繰り返していたとみられている。

 「10人目の被害者になっていたかもしれない」と話した千葉県の女性は、ツイッターにこうもつづっている。

 「死にたいって言ってさ だめだよって言うけど まず理由を聞こうとしてくれるひとっていないよね」

 家族や友人にも打ち明けられない心情や悩み。被害者らが匿名のツイッターを通じ、白石容疑者にこうした“救い”を求めた結果、白石容疑者の手にかかってしまったのだとすれば、これほど残酷なことはない。

座間9遺体事件 神奈川県座間市のアパートで10月末、男女9人の切断遺体が発見された。警視庁はこの部屋に住む無職、白石隆浩容疑者(27)を死体遺棄容疑などで逮捕し、その後、一部の被害者に対する殺人容疑で再逮捕した。全容解明に向けた捜査が続けられている。事件ではツイッターが悪用されたことから、SNS(会員制交流サイト)のあり方をめぐる議論も起きた。