サッカー韓国代表 やっと日本に勝って評価一変は安易すぎないか W杯の相手は世界1位 

スポーツ異聞
後半、FKで決定的な4点目を挙げ、韓国イレブン(左)は歓喜のガッツポーズ(山田俊介撮影)

 「韓国サッカーの歴史に残る大勝だった」-。韓国メディアのノーカットニュースは、12月16日に東京・味の素スタジアムで行われたサッカーの東アジアE-1選手権決勝で、韓国代表が日本代表に4-1で逆転勝ちしたことをこう報じた。日本が国内で韓国に4点差以上で負けたのは実に63年ぶり。だからといって、この一戦を通して、結果を出せず酷評されていた申台龍(シン・テヨン)監督(47)の評価が一変し、来年6月に開幕するワールドカップ(W杯)ロシア大会に向けて「自信を得たのが最も大きな収穫」(中央日報)と小躍りするのは早計ではないか。韓国がW杯で相手にするのは世界のトップなのだから。

 78度目の対戦となった一戦。これまで韓国は日本に対し40勝23分け14敗と勝ち越していた。だが、最近は政治・外交問題で関係が緊迫化したのを受けて、試合が組まれる機会が減り、ここ6年で親善試合が組まれたのは1試合のみ。ただ東アジア・カップなどの国際大会を含めると4試合が行われ、日本が2勝2分けと韓国を跳ね返してきた。そのため韓国が日本に勝利したのは2010年5月24日(2-0)以来で2764日ぶりだった。

 それだけに、今回の大会でも韓国のサポーターは「率直に言って、日本には普通に負けると思う」という下馬評だった。申監督が大会に向けて「選手とコーチ陣すべてが(日本に)勝つために準備をした」とし「今回の試合は結果が重要」と語ると、「口だけで見たら世界最高の名将」などと揶揄したほどだ。

 これだけ酷評されるのは、結果を出せていなかったからだ。前任者のウリ・シュティーリケ氏(63)が成績不振で解任されて就任した申監督だが、ロシアW杯アジア最終予選で2戦2分けでA組2位で辛うじてW杯に出場できたが、今年10月の欧州遠征でロシアに2-4、モロッコに1-3で敗れると「韓国サッカーは死んだ」「W杯に出場する資格がない」などと批判が鳴りやまなくなった。

 今大会も中国に2-2で引き分けると「韓国の守備は1・5軍の中国相手に何度も崩された」(中央日報)と課題に掲げ続けられる守備をやり玉に挙げ、W杯で対戦する相手国のエース、ドイツのトーマス・ミュラー(28、バイエルン・ミュンヘン)、メキシコのハビエル・エルナンデス(29、ウエストハム)、スウェーデンのエミル・フォルスベリ(26、RBライプツィヒ)を「どうやって封じるのか」と指摘した。北朝鮮戦はオウンゴールの1点で辛うじて勝ち、「勝たせてもらった」(朝鮮日報)と呆れていた。

 それが宿敵・日本に大勝したことで、韓国社会を語る際に欠かせないキーワードである「結果至上主義」を如実に示すように、申監督の評価が一変。朝鮮日報は3-1の後半23分、体力の落ちた李根鎬(32、イ・グノ)に代わり投入した廉基勲(34、ヨム・ギフン)が1分後、ペナルティーエリア右脇で得たFKでニアサイドを狙ったシュートでネットを揺らしたことを評価。その直後に日本が交代した選手を見て、布陣を3・4・3に変更したことが追撃の芽を摘み取る効果があったと浮かれた。

 大勝に気を良くし、ロシアW杯へ向けて「これまであふれていた批判世論を一気に追い風に変えることに成功した」(朝鮮日報)と韓国メディアは収穫を書き立てた。とはいえ、韓国がW杯で対戦するのはドイツ、メキシコ、スウェーデンの「死のF組」だ。今回戦った攻守に流動性がなく、運動量で劣った日本ではない。間違えてはいけない。