森友学園問題 「印象報道」垂れ流しの責任はないのか 田中秀臣氏

iRONNA発
森友学園問題をめぐり、マスコミや野党などの追及が続く安倍晋三首相

 森友学園問題は、会計検査院が11月に調査報告を国会に提出したことで再び国民の注視を浴びることとなった。一部のメディアは相変わらず、首相への「忖度(そんたく)」という議論になり得ないものを恣意(しい)的に垂れ流しているが、こんな無責任な報道を許していいのか。(iRONNA)

 森友学園が大阪府豊中市に新設予定だった小学校用地の売却額が評価額よりも低かったことについて、会計検査院の報告は主に2点に集約できる。

 一つは、用地の地下に埋まっているごみの量が、国土交通省大阪航空局が当時推計した量の約3~7割であった可能性があり、十分に調査されていなかったこと。もう一つは、その不十分なごみの埋設量を基に計算された財務省近畿財務局のごみ処理の単価の基礎となるデータや資料が廃棄されたため、会計検査院が会計経理の妥当性について十分な検証ができないと公にしたことである。

意外な事実

 この問題の真相については、筆者も含めて何人かの論者は、一部マスコミや野党が指摘する安倍晋三首相の「忖度」はないものだと主張してきた。むしろ近畿財務局という一地方部局の担当者の交渉ミスが原因であり、それに加えて公的データや資料の保管・廃棄ルールに不備があったという、財務省の問題とみなすのが妥当であろう。違法性の問題というよりも行政のミスのレベルというのが結論である。

 ただ、森友問題がこれほど過大な注目を浴びてきた背景には、一部マスコミの「印象報道」ともいうべき流れがあることがはっきりしている。つい先日、情報公開請求していた大学教授らに近畿財務局は森友学園が設置する予定だった小学校の設置趣意書を開示した。そこに記されていたのは、新設小学校の名前が「開成小学校」であり、首相や昭恵夫人の名前も一切記載されていなかったという事実である。

 これは多くの国民にとっては意外な事実だったろう。なぜならマスコミや野党は、籠池泰典前理事長が安倍首相や名誉校長だった首相夫人の「ブランド力」を利用して、さまざまな利益を得ようとしていたという印象を伝えていたからだ。

 だが、実際には籠池氏の小学校には首相や首相夫人とのつながりを明らかに示す資料はなかった。それでも、この森友問題が政治的に大化けする過程で、マスコミは籠池氏の発言をろくに検証することもなく、そのまま報道し続けた。その中で、あたかも新設小学校が「安倍晋三記念小学校」ではないかという印象を垂れ流すことに貢献したことは明白である。

「忖度」は無理筋?

 特に、朝日新聞は一方の当事者の発言を事実検証もせずに垂れ流した責任があるはずだが、最近はどうも安倍首相への「忖度」が無理筋だと思ってきたのか、社説などでは、財務省のミスを追及する責任が首相にある、と論調を変化させている。

 例えば、12月1日の社説「森友問題審議 無責任すぎる政府答弁」では、「責任は財務官僚にあり、自分は報告を信じただけ。そう言いたいのだろうか。だとすれば、行政府トップとして無責任な発言というほかない」と書いている。これは以下のように書き換えることができるだろう。

 「責任は籠池氏にあり、自社(=朝日新聞)は発言を信じただけ。そう言いたいのだろうか。だとすれば、言論の府としての新聞として無責任な発言というほかない」

 このようなことを書くと毎度出てくるのが、安倍擁護をしているという批判である。経済政策や安全保障を含めて重大な問題がある中で、あくまで責任が全く明示されていない問題に過度にこだわることの愚かさを指摘しているのである。無責任なマスコミの報道姿勢を追及することは、政権の政策ベースでの批判と矛盾することはない。報道によってミスリードされている世論の「魔女裁判」的状況の解消を願っているだけなのである。

 要するに、メディアが「罪」をつくり出す風土にこそ現代日本の病理がある。

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 ■田中秀臣(たなか・ひでとみ) 上武大ビジネス情報学部教授、経済学者。昭和36年生まれ。早大大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本経済思想史、経済論。主な著書に『経済論戦の読み方』(講談社現代新書)『デフレ不況 日本銀行の大罪』(朝日新聞出版)など多数。近著に『ご当地アイドルの経済学』(イースト新書)。