韓国メディアがたった1勝でサッカー代表に歓喜の手の平返し 「結果至上主義」が韓国社会!?

スポーツ異聞
韓国代表は格上のコロンビアに対し、ソン・フンミン(右)の2ゴールで久しぶりに勝利した(AP)

 サッカーの韓国代表が11月10、14日に2017年シーズンで最後となる国際親善試合2試合を1勝1分けで終えると、それまで「ワールドカップ(W杯)に行く資格がない」などとサポーターの酷評を報じていた韓国メディアが「韓国サッカーに春が訪れた」(朝鮮日報)などと評価を一変させた。成績不振で更迭されたウリ・シュティーリケ前監督(63)の後を継いで今年7月に就任した申台龍監督(47)が当初2敗2分けと結果を出せないと、一斉にバッシングしたのは韓国メディアだったはず。“豹変”の要因をわざわざ朝鮮日報は「韓国社会は結果至上主義」と丁寧に自己分析をしていた。

 韓国代表は11月10日に国際サッカー連盟(FIFA)ランキング13位と格上のコロンビア戦で、ソン・フンミン(25、トッテナム・ホットスパー)の2ゴールで2-1で勝利。代表ではサイドで使われてきたソンをトップに配置転換したことで結果が出たとし、W杯に向けて戦術的な光明を見いだしたと、韓国メディアはこぞって評価。11月14日のセルビア(38位)戦ではスタジアムに3万560人が訪れ、人気を取り戻しつつあるとみた。コロンビア戦では4万4000席のうち約2万9000人しか埋まらず空席が目立った状況だったからだ。体格差で勝るセルビアに先行されたが、PKで同点に。コロンビア戦ほど相手を崩しきれなかったが、1-1の引き分けで終えていた。

 この結果に、中央日報は「代表チームにまた希望を抱き始め、不信感は弱まった」と雰囲気がガラリと変わったことを伝えていた。わずか1カ月前まで「最悪の危機」(中央日報)などと報じられ、10月の欧州遠征で2戦2敗の結果に代表が帰国した空港に熱烈なサポーターが抗議に訪れ、「韓国サッカーは死んだ」と過激な横断幕を掲げて怒りを露わにしていたのが嘘のようだ。

 この要因を明確に分析していたのが、朝鮮日報だ。「結果至上主義・韓国」と題し、韓国社会を語るときに「結果至上主義」は欠かせない「キーワードだ」とし、「結果と成績に注目する人が少なくない。韓国サッカーも変わらない」と論評した。コロンビア戦を勝ったことで「大きな峠」を越え、「怒っているサッカーファンの民心を盛り返した」と解説した。

 では、韓国代表は1カ月という短期間に何が変わったのか。韓国メディアはこぞって選手の目の色が違ったと指摘した。つまり「失われてしまった韓国サッカー特有の闘志と根性を取り戻した」(朝鮮日報)というのだ。申台龍監督も「精神力と集中力が高く、競技力は全く違う状態だった」(同)と振り返った。

 ここまで結果が出ていなかったチームには試験的な戦術を試す余裕はなかった。東亜日報は、11月3日にコーチに就任したスペイン人のトニー・グランデ氏(70)の存在が弱かった韓国代表を一変させたと指摘した。スペインの名門クラブ、レアル・マドリードなどで選手として過ごしたグランデ氏は1996年から8年間、レアル・マドリードのヘッドコーチを務めた。スペインを率いた名将ビセンテ・デルボスケ(66)の下では2010年南アフリカW杯優勝時にアシスタント・コーチとして補佐した経歴を持つ。

 デルボスケ氏が用いた戦術として短いパス交換をしながら攻撃的なサッカーを展開する「ティキタカ」が知られるが、攻撃サッカーを標榜する申台龍監督が理想と考えるスタイルでもある。グランデ氏によって韓国代表に植え付ける作業が本格的に開始されたとSBSテレビは伝えた。

 東亜日報はグランデ・コーチが就任以来、代表チームのビデオ・ミーティングが多くなったと指摘。選手たちをずっと集中させるほど完成度は高かったという。これによって戦術の習熟度は高まり、コロンビア戦では相手エース、ハメス・ロドリゲスを完全に封印して目立つ活躍をさせなかったという。

 とはいえ、勝利という結果が見えたのはコロンビア戦の1試合だけ。中央日報は「ファンの信頼を完全に取り戻したと錯覚すれば、また崖っぷちに追い込まれるだろう」と警鐘を鳴らすことも忘れなかった。果たして、韓国代表はロシアW杯で「1次リーグ敗退」とサポーターの間で予想される状態を脱却できるのだろうか。