八百長の次は性的暴行 韓国プロ野球トップ選手の不実な実態 一罰百戒を唱えるが…

スポーツ異聞
八百長に続き、元恋人への性的暴行事件を起こし、ユ・チャンシクは実刑判決を受けた(本人のインスタグラムから)

 韓国では野球が“国技”と言われるほど、大人気のスポーツだ。2016年シーズンには累積観客動員数が1982年のリーグ創設以降初めて800万人を突破し、人気は絶頂期を迎えている。それなのに選手は倫理意識が欠如し、ファンの信頼を裏切ることに良心の呵責を感じないようだ。超トップクラスの若手プロ野球選手が2016年に八百長に加担していたことが発覚して3年間の出場停止処分を科されたばかりなのに、今年11月9日には元恋人に対する性的暴行容疑で懲役2年6月の実刑判決を言い渡された。韓国メディアは「再び物議を醸し、どん底に堕落した」と手厳しく批判している。

 中央日報などによると、元恋人に対する性的暴行容疑で実刑判決を受けたのは、韓国プロ野球、起亜所属の投手だったユ・チャンシク(25)。2010年の世界青少年野球選手権の韓国代表としてプレーした高校時代を経て、11年に韓国プロ野球・ハンファに入団した。その際の契約金は7億ウォン(約7000万円)という破格で、韓国では超トップクラスの有望選手と報じられた。残念ながらプロ入り4年間で16勝しか挙げられず、15年には起亜へトレードされた。

 八百長は、ハンファ時代の14年4月1日、サムスンとのホーム開幕戦で起きたという。開幕投手という栄誉を担いながら、1回、相手の3番打者に対し、わざと四球で出塁させた。この八百長で賭博サイトのブローカーから500万ウォン(約50万円)を受け取ったという。

 ユ・チャンシクは16年7月に発覚したプロ野球の八百長事件をめぐり、自ら関与を申告した。韓国野球委員会(KBO)が過去の八百長に関与したことを自己申告した選手を永久失格にしないなどという特別措置を発表したことを受けて、KBOが設けた期間内に申し出た。ユは「良心にさいなまれ、怖くなった」と説明した。この結果、3年間の出場停止処分にとどまり、20年には再び出場が可能だった。

 聯合ニュースなどによると、八百長による違法賭博容疑で懲役8月、執行猶予2年の判決を受けていたユ・チャンシクは17年1月12日午前6時ごろ、自宅で元恋人と伝えられる女性と無理矢理、性的関係を結んだ容疑で起訴された。女性が警察に申告していた。ユは合意の上を強調したが、裁判所は「今年4月に被害女性に会った際、なぜ虚偽の申告をしたのかと問わず、むしろ自分の立場を考えてくれとし、今後野球ができなくなると言っており、このような行動は納得しがたい」と懲役2年6月の判決を下した理由を説明した。さらに、性的暴行治療プログラムを40時間履修することも命じた。

 ユは八百長事件後、17年に発足した独立リーグでのプレーを通じて現役続行への意欲を示していたが、性的暴行事件によって「選手生命は完全に不透明なものになった」と韓国メディアは伝えた。

 韓国球界では12年に発覚した八百長事件によって、選手を対象に防止教育を毎年実施していた。試合をリアルタイムでモニタリングする公正センターを設置し、隠密監視制度も実施したのに、またも八百長事件が発生したことで野球関係者はショックを隠しきれず、KBOは「一罰百戒の厳正な制裁」を科す決意をみせた。というのも、12年の事件の際、他にも八百長に関与した選手がいるとみられていたものの、事件を最小限に食い止めようと幕引きを急いだ弊害が指摘された。

 韓国のスポーツ行政を総括する文化体育観光省は14年にスポーツ界の暴力や不正、八百長などを根絶しようと「スポーツ不正申告センター」を設立した。過去3年間で742件に上り、今年も8月までに62件の申告があった。韓国メディアはいまだに不正が後を絶たないという実態が明らかになった指摘した。

 ユ・チャンシクの事例のように、八百長や刑事事件を犯す野球選手が出れば、それだけ“国技”と位置づけられている野球へのイメージダウンは必至だ。中央日報は再発防止のため「骨を削る自浄への努力をしなければならない」と主張している。まさに韓国スポーツの命運がかかっているといえる。