韓国の株高は誰が見ても異常 日経平均高値に浮かれている場合か、ニューヨーク市場はバブル懸念

田村秀男のお金は知っている
日米中韓の株価指数

 トランプ米大統領は日本を皮切りに、韓国、中国などを歴訪中だ。北朝鮮の核・ミサイル対策を話し合うが、奇妙なことにこれら関係国の株価は朝鮮半島情勢の緊迫化を尻目に上昇を続けてきた。中でも日経平均株価は7日、1996年のバブル崩壊後最高値を上回った。日経新聞電子版はさっそく「21年前に比べ割高感は解消」と大はしゃぎだが、ちょっと待てよ。(夕刊フジ)

 世界の株価を先導するニューヨーク市場ではバブル懸念が生じている。韓国の株高は誰が見ても異常だ。韓国と同じく、世界的な株式投機によって押し上げられている日経平均を楽観視できるはずはない。

 グラフは今年初め以来、今月7日までの日米中韓の株価を日ごとに追っている。本欄前回で指摘したように、韓国の株高速度はめざましい。北からの挑発が激化するなかで、前大統領が弾劾され、左派の現政権になろうと、株価はうなぎ上りで、景気回復に支えられているニューヨーク株高をはるか上回る。

 韓国株買いの主役は外国の投資ファンドだ。サムスンなど韓国の情報技術(IT)関連株を中心に、3割以上が外国勢によるものだ。外貨不安を抱える韓国は外国からの資本流入の9割近くを外国からのポートフォリオ(株式など証券)投資に依存している。株式バブルの崩壊不安が生じると、巨額の資本流出と通貨ウォンの暴落リスクが高まる。

 金融市場の脆弱(ぜいじゃく)さを自覚しているからこそ、韓国経済界は日本に通貨スワップ協定の再開を求めてきたが、慰安婦合意不履行の文在寅(ムン・ジェイン)政権は安倍晋三政権に正式要望できないままだ。代わりに中国・習近平政権に頼み込んで、中韓通貨スワップ協定延長にこぎつけたが、人民元建てで、肝心のドルを融通してもらえるか心もとない。

 中国と韓国はともに企業と家計を合わせた債務を急増させてきた。今年3月末の同債務の国内総生産(GDP)比は中国2・1倍で、日本のバブルピーク時の水準並みだ。韓国は同1・9倍で、1997~98年のアジア通貨危機時の1・6倍をはるかに上回る。ともに債務不安を抱えている中韓は互いに相手を助けるゆとりはない。

 ニューヨーク市場はどうか。金融バブル論の権威でノーベル経済学賞受賞のロバート・シラー氏は米メディアなどでバブル化を警告しているが、グローバル市場のもと、崩壊が米国発とは限らない。96年12月、当時の米連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長は米株式について「根拠なき熱狂」と警告したが、まもなく起きたのはアジア通貨危機で、巡り巡ってニューヨーク市場に波及した。

 トランプ氏の韓国、中国の訪問は本人が意識せずとも、金融市場不安とは無縁ではない。北朝鮮との武力衝突が避けられないともなれば、ソウル市場が揺らぐ。米中の貿易戦争勃発となれば米市場が動揺する。日経高値に浮かれるのは愚かだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)