日本地図に北方領土がない! 希望の党の説明は韓国側と同様だった 小池百合子代表がまずリセットするのは…

政界徒然草
希望の党の政見放送で使用された北方領土のない日本地図

 希望の党(代表・小池百合子東京都知事)にとって、北方領土は日本固有の領土ではないのだろうか-。12日から始まった同党の政見放送の内容は、そう疑わざるを得ない内容だった。政見放送の中で使用した日本地図に、あるべきはずの北方領土が記載されていなかった。希望の党は衆院選の公約に「北方領土返還を目指す」と明記し、小池氏も入党条件に「リアルな安全保障」を掲げているが、その信頼性は…。

 「私たち希望の党は、守るべきはしっかり守る。変えるべきは大胆に変える。改革保守の政党です」

 政見放送で小池氏がそう力強く訴えると、画面が切り替わり、北方領土のない日本地図が大きく映し出された。見落としたのかと動画の「巻き戻しボタン」を何度も押してチェックしたが、やはりない。

 北方領土はロシアが不法占拠を続けており、安倍晋三首相がプーチン露大統領との間で返還に向けた交渉を続けている。緊迫する北朝鮮情勢や中国による海洋進出の強行などと並び、日本の外交・安全保障上の最重要課題の一つであることは言うまでもない。

 小池氏は選挙戦で安倍政権を批判しつつも、外交や安全保障では「現実路線」を標榜(ひょうぼう)し、他の野党との差別化を鮮明にしている。希望の党の公約を見ると、北方領土返還に加え、「尖閣諸島防衛」や「竹島問題の解決」を掲げている。集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法についても「憲法にのっとって適切に運用する」と明記している。自民党の公約だといわれても信じてしまうような内容だ。しかし、日本地図に固有の領土を記載しないという姿勢からは、国防に対する本物の覚悟は感じられない。

 希望の党の政見放送にかみついたのが、自民党の和田政宗参院議員だ。自身のツイッターにこう書き込んだ。

 「希望の党の政見放送を見て、たまげました。日本地図に北方領土が記されていません。北方領土は日本の領土ではないのでしょうか。政見放送ですから党の公式の見解や政策を出すものです。党代表か幹部が最終的にVTRにOKを出しているはずですが、こうした重要なことを見過ごすでしょうか。あり得ない」

 自民党国防族も「リアルな安全保障どころか、地図は『フェイク』そのものじゃないか」とこき下ろした。

 なぜ希望の党はこんな日本地図を政見放送に使用したのか。同党で代表補佐と選挙対策事務局長を兼任する樽床伸二氏を直撃した。

 --政見放送で北方領土が抜け落ちた日本地図が流れたが、その意図は

 樽床氏「まったく意図などない。誠に申し訳ないと思っている」

 --抜け落ちた理由は

 樽床氏「バタバタの中で映像製作会社に任せて作成しており、しっかりとしたチェック体制ができていなかった。つい先ほども同様の指摘を別のマスコミからいただいた」

 --樽床氏は映像をチェックしたのか

 樽床氏「私は政見放送自体、まだ見ていない。私が希望の党に選挙対策事務局長として赴任する以前にすでに政見放送のデータは作られていた」

 --動画の使用について小池代表は決済したのか

 樽床氏「小池氏も確認していなかったと思う。政見放送は党としての決済体制ができあがる前に作成されたものだ」

 --党として領土問題を軽視していると思われるが

 樽床氏「そんなことはない。党としても個人としても北方領土も尖閣諸島も日本の領土だと思っている」

 --政見放送の中身の差し替えは行うのか

 樽床氏「法律的・技術的に可能であれば中身を入れ替えたいと思ったが、総務省やNHKなどに問い合わせた結果、政見放送は公示後の届け出変更は難しいとの指摘を受けた」

 つまり、政見放送に使用する重要な映像を制作会社に丸投げし、小池氏も選挙を仕切る樽床氏も内容を確認せずに使用したというわけだ。この説明は、先ごろ発覚した平昌冬季五輪の公式ホームページに日本列島が表記されなかった際の韓国側の外部の業者に制作を依頼し、チェックした担当者が見逃した、との説明と同様ではないか。

 小池氏は政見放送で「大胆にリセットして、改革を進めましょう。今こそ変えるチャンスです」と訴えたが、まず不完全な日本地図をリセットするところから始めなければならない。 (政治部 石鍋圭)

 北方領土 北海道の北東に連なる択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島で構成する日本固有の領土。江戸時代から日本人が開拓し、住み着いたが、1945(昭和20)年の第二次世界大戦後にソ連が侵攻し、現在のロシアも不法な占拠を続けている。安倍晋三首相はロシアのプーチン大統領との間で領土問題解決に取り組むが、返還の具体的なめどは立っていない。