俳優、浅野忠信 “映画的なもの”は映画に限らないとドラマ、ネット配信映像にも意欲

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フジテレビのドラマ「刑事ゆがみ」に出演する浅野忠信(飯田英男撮影)

「刑事ゆがみ」(フジテレビ 木曜午後10時~ 12日スタート)

 「これまで犯人役や敵役を多く演じてきたので、アウトロー側の気持ちの方が理解しやすい。今回の役が正統派の刑事じゃなくて良かった」と話す。

 天才だが偏屈で、犯罪者の心を読む能力を持つ主人公の刑事、弓神適当(ゆがみ・ゆきまさ)を演じる。

 弓神は適当でだらしなく、人と一緒に行動することを嫌う変わり者で、真相解明のためには違法捜査もいとわない。相棒となる正義感の強い刑事、羽生虎夫(はにゅう・とらお)(神木隆之介)は振り回されっぱなしだ。

 「本当に適当な男。羽生に『明日8時にな』と言って、行かないとか平気でやる」と笑う。

 本来、撮影前には台本を読み込み、その職種や業界に取材するなど、きっちり下準備して、演じる役柄のイメージを固めていくという。だが今回は、「『こんな刑事、絶対いない』と思ったので、あえてやらなかった。それに準備するなんて、適当な弓神らしくない」と話す。刑事ドラマの撮影現場には、刑事としてのリアルな動きなどをアドバイスする刑事のOBがいるが、「あえて話半分に聞いておこうかと思っています」。

 民放の連続ドラマでの主演は初めて。一時期は映画俳優としてのキャリアを積むことに傾倒していた部分もあるというが、平成26年にドラマ「ロング・グッドバイ」(NHK総合)で主演を果たした前後から、映画以外でも俳優としての活動分野を広げてきた。

 「僕にとって“映画的”であるということは大事なこと。映画はずっと『身近にあって、キラキラしたもの』の象徴で、それに関わりたいと願ってきた」と振り返る。転機は主演映画「モンゴル」(同20年日本公開)の撮影の際、モンゴルの小さな町のネットカフェで、海賊版の映像をキラキラした目で見ている子供たちを発見したことだった。

 「この子たちにとってこの海賊版は、僕にとっての『映画的なもの』なんだな、と思った」

 以降、映画的なものは映画だけに限らないと、分野にこだわらなくなったという。

 今後はネット配信の映像作品などにも出演の意欲をみせる。

 「いつまでも人と一緒にものをつくることをやり続けたい。そのためにも、まずは『刑事ゆがみ』がヒットしてほしいですね」(文化部 三宅令)

 あさの・ただのぶ 昭和48年生まれ。神奈川県出身。昭和63年にドラマ「3年B組金八先生III」(TBSテレビ系)でデビューし、ミュージシャンとしても活動。映画では平成15年に「座頭市」などで日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞し、同年に「地球で最後のふたり」でベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門の主演男優賞を受賞。23年に「マイティ・ソー」でハリウッドに進出。