意外な弱点も 清宮幸太郎、中村奨成、安田尚憲…高校ビッグ3の揺れる評価

スポーツ異聞
通算本塁打が110号に到達した清宮。W杯で評価はどう変わるか(矢島康弘撮影)

 カナダのサンダーベイで開催中の野球のU-18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)で注目を集める高校日本代表のビッグ3、清宮幸太郎内野手(東京・早実3年)、中村奨成捕手(広島・広陵3年)、安田尚憲(ひさのり)内野手(大阪・履正社3年)。今秋のドラフト候補間違いなしの3人だが、ここに来て、評価が揺らぎ始めている。

 9月2日の米国戦で、強力打線がわずか2安打で0-4の零封負け。中でも、3番・安田、4番・清宮に当たりは出ず、清宮は4打数ノーヒット。中村は二塁への悪送球など、精彩を欠いた。3日のキューバ戦では、中村はスタメンマスクから外され、4番・清宮は3番・安田が敬遠され、自らが勝負される始末。ここに来て、疑問符がつき始めた。

 米国戦には、米大リーグと日本のプロ野球のスカウトが集結。ネット裏から熱い視線を送った。しかし、いいところを見せることはできなかった。

 ある在京セ・リーグの球団関係者は「3人ともドラフトでは1位候補。清宮はスター性があるし、中村は捕手というポジションが魅力。安田は外れ1位かもしれないが、上位で消える」と断言するが、雲行きが怪しくなってきたのは事実だ。

 今夏の甲子園は“打高投低”とされ、例年と比べ、投手のレベルが高くなかったのは明らか。スピードガンで球速が150キロの大台を超えたのは、優勝した花咲徳栄(埼玉)の清水達也投手ら、ごくわずか。昨年は優勝投手の今井達也投手(栃木・作新学院-ドラフト1位で西武)、藤平尚真投手(横浜-ドラフト1位で楽天)、寺島成輝投手(履正社-ドラフト1位でヤクルト)、高橋昂也投手(花咲徳栄-ドラフト2位で広島)ら速球派がゴロゴロしていたのとは大違いだ。

 中村が、清原和博(PL学園-西武など)の5本を抜いて、32年ぶりの大会新記録の6本塁打を放ったが、割り引いて考える必要があるようだ。清宮も同じ。高校通算最多とされる110本塁打も練習試合を含めての数字で、新記録の108本目は、大学生との練習試合でのもの。大学生とは言っても、東京六大学のトップクラスの投手ならまだしも、地方の大学の2~3線級の投手で、打って自慢できるものではない。109本目も、同じように、重圧がない場面で打席に立てた。

 本塁打の数が、プロでの活躍に直結するものではないのは明らか。現に、高校通算107本塁打の山本大貴はプロ入りさえしてはいない。一方、松井秀喜氏(元巨人、ヤンキースなど)は星陵(石川)時代に60本塁打。阿部慎之助(巨人)は安田学園(東京)時代38本塁打。今季、パ・リーグで本塁打王争いを繰り広げる柳田悠岐(ソフトバンク)は広島商でわずか11本塁打しか打っていない。もちろん、数が多いにこしたことはないが、清宮がプロ野球でも、アーティストとしてガンガン、スタンドへ放り込むとは限らない。

 安田は188センチ、95キロのビッグサイズで、清宮(184センチ、101キロ)を上回る体格は魅力だが、どう成長するかは未知数だ。

 今秋のドラフト候補では、大学生、社会人に即戦力の左腕がめじろ押し。立命館大の左腕、東克樹(あずま・かつき)投手は150キロ超の速球が武器で、ノーヒットノーランを達成したこともある。早くも1位候補としてリストアップしている球団もある。

 東京六大学の東大のエース宮台康平投手も注目の1人だ。左腕で150キロというスピードは魅力的。さらには「東大」というブランドもあり、話題づくりにはもってこい。ドラフト1位で消えてもおかしくはない。

 JR東日本の田嶋大樹投手は社会人ナンバーワン左腕。勝ち星が計算できる即戦力左腕は魅力だ。

 そんな中、高校のビッグ3はどんな評価を受けるのか。U-18W杯でのプレーで評価は変わるのか。10月26日のドラフト会議に注目だ。