新国立競技場は後利用に不安 サッカーやラグビーだけでは無用の長物か

スポーツ異聞
東京五輪の主要な会場

 “無用の長物”になってしまうのではないか-。スポーツ団体の関係者からこんな声がささやかれ始めている。東京・明治神宮外苑に建設中の新国立競技場のことである。

 2020年東京夏季五輪・パラリンピックのメイン会場。総工費1490億円をかけて建設中の8万人収容の大スタジアムだ。デザインをめぐって、一度はザハ・ハディド氏の斬新な案に決まりながら、工費が高額になると“待った”がかかり、すったもんだの末、現在の案で落ち着いたことで記憶している方も多いだろう。

 五輪期間中は、開閉会式とともに、陸上競技場の会場として使用される。サッカーでも検討されているが、芝を養生させなければいけない問題もあり、難しいようだ。

 それはさておき、問題は五輪の後、どうするかである。運営費が巨額になるため、収入がないと赤字になる可能性がある。新国立の後利用や運営を検討するスポーツ庁の作業部会では陸上トラックを取り払い、サッカーやラグビーの球技専用競技場とすることで一致した。トラック部分もスタンドを入れることで、収容人員を6万8000人から8万人にするという。

 果たして、8万の大観衆を集められる大会はどれだけあるだろうか。サッカーの日本代表戦、しかも単なる国際親善試合ではなく、相手がブラジルやドイツ、イタリア、スペインのような超強豪。それか、ワールドカップ(W杯)予選の韓国戦や豪州戦などだ。しかも、本大会に出場できるか否かを懸けた大一番。それぐらいしか、頭に浮かばない。

 ラグビーでは残念ながら、現状では難しいだろう。トップリーグはいうに及ばず、日本代表の試合でも、盛り上がりは難しい。

 8月25日には、スポーツ庁の作業部会が日本サッカー協会から聞き取り調査を行った。調査の内容は明らかにされなかったが、同庁によると、協会側からは日本代表数試合、天皇杯全日本選手権、全国高校選手権など旧国立競技場に準じた活用の余地があるとの説明があったという。

 その上で、球技専用化にあたって、観客席の傾斜など臨場感に配慮することや、将来のW杯招致に必要な8万人規模にすることなどを要望されたという。

 しかし、日本代表の試合はともかく、高校サッカーや天皇杯ではせいぜい2万~3万人がいいところ。これでは8万の観客席ではガラガラ感が出てしまう。

 さらには、W杯の日本招致もいつになるかは未知数だ。22年カタール大会までは開催地が決まっており、26年大会は米国・カナダ・メキシコが共同開催で立候補を表明している。早くとも30年以降になるが、仮に立候補しても当選する保証はどこにもない。

 あと、現在、代表の試合は埼玉スタジアムを使用しているが、その兼ね合いはどうするか。都心部からのアクセスは、新国立が圧倒的にいいが、埼玉はサッカー専用スタジアムで観客席からピッチが見やすい。2002年W杯の決勝会場となった日産スタジアム(陸上兼用、7万2327人収容)も全く使わないというわけにはいかないだろう。

 そこで、サッカーやラグビーにこだわらない抜本的な発想こそ必要ではないか?

 1996年に開催されたアトランタ五輪では、閉幕後、さっさと大改修工事を行い、大リーグのブレーブスの本拠地スタジアム、ターナー・フィールドに生まれ変わった。

 ある程度、稼働率を上げないと、“お荷物”になる不安はぬぐえない。