「何が起きているのだ!」 国の威信どころではない韓国バレーボール代表が直面している惨状とは

スポーツ異聞
バレー女子の韓国代表で主将のキム・ヨンギョンは若手に苦言を呈した(国際バレーボール連盟のホームページから)

 バレーボールの韓国代表で、不協和音が表面化した。主将がけがを理由に代表入りを渋っているチームに所属している若手を名指しで批判し、物議を醸しているという。朝鮮日報が報じており、代表への選手招集に関して、韓国協会と国内リーグのチームとの間でもめ事が日常化している実態を指摘した。「一体、バレーボール界で何が起こっているのだろうか」と問題を提起している。

 韓国ではバレーボールは四大プロスポーツの一つに挙げられる人気競技だという。中央日報によると、2007年に1398人だったプロバレーの平均観客数は15年に2311人に増加。観客席が埋まる比率も07年27.3%から15年57.1%に増えている。シーズン中に5回以上観戦に訪れるファンも47.9%に達したという。

 しかし、人気上昇中とは思えないトラブルが昨年、発生していた。リオデジャネイロ五輪では代表チームなのに、通訳やチームドクターがおらず、対戦チームの戦力分析員が1人だったという。究極はブラジルからの帰国に際し、16人の選手らが乗れる便を確保できず、4組に分散して帰国していたことだ。選手は「劣悪な環境だった」と打ち明け、ネットには「これで勝つ方がおかしい」などとの声が寄せられていた。実際、リオ五輪は5位に終わった。

 そして今回、朝鮮日報は「薄い選手層、過密日程で酷使される代表選手たち」と題して報じている。通常、国内リーグなどのチームから代表選手は招集されるが、チーム側は選手のけがが怖く、代表選出をめぐって韓国協会とチームとがもめることが日常茶飯事になっていると指摘した。

 そのため、代表の14人枠が埋められず、最近の国際大会には12~13人で出場しているという。これでは中心選手が当然酷使され、けがしやすくなる。主将で攻撃の中心的存在のキム・ヨンギョンは「苦労している選手ばかりが苦労する」と苦言を呈し、代表に選手を出し渋るチーム所属の20歳の若手有望選手を名指しで批判した。

 キムはその後、マネジメント会社を通じて「実名を挙げて批判した部分は、代表選手の管理だけでなく、人材発掘・育成できるシステムの必要性を述べたもの」と正当性を訴えた。

 キムの発言は韓国バレー界で「決意の発言」と捉えられ、波紋を広げている。朝鮮日報は、バレー選手のけがは職業病の部分があり、それを理由に代表入りを拒否したら代表チームはつくれない-などとするリーグ監督の声を紹介。さらに五輪では代表入りの「陳情」が殺到するのに、五輪年以外では手のひら返しのごとくで、代表監督の中にはリーグのチームに対し、泣きついて招集に応じてほしいと要請したというエピソードも明かしている。

 国の威信を懸けた国際大会での勝敗にこだわるスポーツナショナリズムに関して、韓国は最も熱心だと言われるが、韓国バレー界で起きていることは国際大会どころではないという惨状だ。いまのような選手招集のやり方は選手に無理強いを迫ることにもつながる。ネットには「選手が立ち上がって代表チームの招集について口にするなんて、どんなに切羽詰まっているんだ」などとの声が相次いでいるという。まさに「何が起きているのだ」である。