ダルビッシュ移籍が韓国に動揺 ドジャース柳賢振が先発生き残りに戦々恐々の報道

スポーツ異聞
ダルビッシュの加入で韓国出身の柳賢振は、先発投手の座が危うくなってきた(AP)

 トレード締め切り直前にレンジャーズからドジャースへ電撃移籍したダルビッシュ有(31)をめぐって、韓国で波紋が広がっている。というのも、韓国で野球は「国技」と言われるほど人気が高く、米大リーグ球団に今季は8選手が所属し、プレーぶりなどが大々的に報じられている。このため、ダルの加入でドジャースに在籍する柳賢振(リュ・ヒョンジン、30)が先発投手陣のサバイバル競争に勝ち残れるかと騒がしくなった。ダルが8月4日の移籍後初登板で7回10奪三振の快投を演じ、称賛を浴びたことで、不安は募るばかりだ。

 ダルの移籍を受けて、韓国メディアは「ダルビッシュ加入で生存競争に追い込まれる柳賢振」(中央日報)、「柳賢振は新たな先発サバイバルへ」(東亜日報)、「柳賢振が受ける影響は?」(インターネットニュースサイト・nocutnews)などと一斉に報じた。

 ダル移籍の背景を中央日報が詳しく解説していた。1988年のワールドシリーズを制したドジャースだが、それ以降、10回もポストシーズンに進出しながら優勝に手が届いていない。ところが、2017年シーズンはナ・リーグ西地区で断トツの強さを見せつけ、2位以下に大差をつけて首位をひた走る。

 しかし、米統計サイトが予測したドジャースのワールドシリーズ優勝は17.9%と意外に低く、インディアンスの16.5%、アストロズの15.7%とあまり差がない。その理由が、エースのクレイトン・カーショー(29)以外に計算できる先発投手がいないことだという。

 しかも、3度のサイ・ヤング賞を受賞するカーショーもポストシーズンで結果を残せていない。16年シーズンではカブスが王手をかけたリーグチャンピオンシップシリーズ第6戦に先発し、5回5失点で敗戦投手なっている。この不安要素を払拭するため、ドジャースの社長がエース級投手としてダル獲得という勝負に出たとしている。

 東亜日報は「すでにワールドシリーズを制覇するのに十分な戦力を備えていながら、ちょっとした隙さえも完璧に埋めたとみられている」と指摘した。

 チームにとっての完璧は、柳賢振にとってはサバイバルレースの鐘が鳴ったことを意味した。2013年にポスティングシステムを行使して、ドジャースに移籍。韓国プロ野球から直接MLBに移籍した初の韓国人選手となった。13、14年とともに14勝を挙げる活躍を演じたが、15年に左肩の故障で手術。16年はリハビリをしながらの復帰を目指したが、今度は肘を故障し手術。17年5月にやっとマウンドに戻れた。8月7日時点で17試合に登板し4勝6敗1セーブを挙げている。

 チームは今、カーショー、ブランドン・マッカーシー(34)が故障者リスト入りしている。柳にとって、真のピンチはカーショーらが戻ったときだとされる。nocutnewsによると、先発投手陣のカーショーとアレックス・ウッドが左腕、ダルが右投手なので、左右のバランスから前田健太やマッカーシーら右腕の競争が激しくなり、左腕の柳の出番が不透明になるという。

 韓国ネットユーザーは柳への否定的な報道の賛否で侃々諤々な状況になっている。有無を言わせぬ実績を維持すれば、十分サバイバルレースで生き残れると報じる韓国メディアもある。しかし、スポーツは「たられば」なしの結果がものを言う世界だ。それを一番知っているのは柳自身だろう。