さらば、蓮舫代表 「二重国籍」問題であらわになった受けの弱さ 

野党ウオッチ
記者会見で辞任を表明し、笑顔で退席する民進党の蓮舫代表=7月27日午後、国会内(斎藤良雄撮影)

 民進党の蓮舫代表(49)が突然、辞任を表明した。1年もたたず党代表降板を余儀なくされ、相当な悔しさを感じていることだろう。7月27日の辞任記者会見で蓮舫氏は「攻めと受け、この受けの部分に私は力を十分に出せませんでした」と独特な表現で代表としての至らなさを説明した。

 確かに蓮舫氏の「受けの弱さ」は随所に見られた。顕著になったのは7月2日投開票の東京都議選後だった。

 蓮舫氏は5月中旬から連日、早朝のビラ配りに精を出し、休日も候補予定者の応援演説のため都内を転戦し、耳目を集めた。一時期は議席ゼロも噂された中で、蓮舫氏の活躍こそ終盤追い上げの要因だったといえる。

 ただ、7月11~18日に開かれた都議選敗北を総括する国会議員による「ブロック会議」は修羅場と化した。蓮舫氏をはじめ執行部の引責を求める声が相次いだのだ。日ごろ、蓮舫氏に批判的な思いを抱く非主流派の議員も、ブロック会議までは面と向かって思いをぶつけることがなかった。そんな中、仲間の厳しい指摘はショックだったに違いない。会議終了後の取材でも心を閉ざすようになった、と感じた。

 「受けの弱さ」を取り繕う姿勢が決定的にあらわになったのが、蓮舫氏の台湾籍と日本国籍のいわゆる「二重国籍」問題だった。

 代表続投へのカードとして切り出したのだろうか。蓮舫氏は7月13日の記者会見で戸籍謄本の一部などを開示する準備があると明言した。腑に落ちなかったのが、会見の冒頭で「差別主義者、排外主義者の方たちに言われて公開するようなことが絶対にあってはいけない」とわざわざ強調したことだ。

 戸籍謄本の開示を求める声は、民進党の国会議員からもよく聞いていた。その理由は、説明が二転三転し、発言の信用度が低いので、公的書類による確認を求めたいという趣旨だった。

 蓮舫氏も戸籍開示の必要性について理解していたはずだ。わざわざ「排外主義」を持ち出す必要があったのだろうか。記者会見で二重国籍問題を追及する記者を差別主義者だと牽制し、自らを被害者だと演出する意図があったのではないかとも勘ぐる。

 二重国籍問題は、蓮舫氏にとって最大の弱みだったのだろう。蓮舫氏を政界にスカウトした鳩山由紀夫元首相も、蓮舫氏が台湾籍を持つと証言した過去のインタビュー記事を念頭に「最初にウソをついた」と指摘した。

 党内外から起きた「レイシズムに負けないで」などと本質をはき違えた声に寄りかかり、公人として解決を先延ばしにしてきたことこそが、蓮舫氏の心の弱さではないか。

 記者会見で「党内から(戸籍開示を求める)そうした声を挙げる人は排外主義なのか」との趣旨で質問すると、蓮舫氏は「受け止めが完全に間違っている」と答えた。その後、自身のフェイスブックに「何を聞いているのか。書きたいことの確認質問しかできない記者なのか、と驚いた瞬間」と不満をぶちまけた。

 原則1日2回の記者会見をこなす菅義偉官房長官は、そんなことをしない。蓮舫氏の器量の狭さを痛感する。

 軽薄な面はほかにもあった。蓮舫氏は7月25日の両院議員懇談会で代表続投を宣言し、次期衆院選で東京の衆院選挙区へのくら替えを明言した。ところが2日後の辞任表明に伴い、あっさりと白紙に戻した。この対応には「かねがね指摘されていた度胸のなさが明らかになった」との声が相次いでいる。

 リーダーとして再び先頭に立つ考えがあるならば、党代表としての発言を撤回せずにリスクをとる姿を披露してこそ、持ち味の追及力に磨きをかけることができるのではないだろか。

 常に“戦闘態勢”バリバリの蓮舫氏だったが、意外な表情もあった。都議選の応援で6月26日夜に武蔵野市に駆けつけたときのことだ。いわゆる「小箱」で30人ほどの支援者を前に、蓮舫氏は子育てや高齢者の社会保障政策について、柔らかな表情で滔々と話していた。街頭演説で見ることのない姿で、話の内容がすっと頭に入ってきたことを実感した。

 批判一辺倒に相手を攻め立てるだけではなく、穏やかな姿勢も実は持ち味だったのだ。この側面をもっと早く、前面に出していれば、1年未満での代表辞任ということはなかっただろう。

 蓮舫氏の発信力と存在感は誰もが認める。街頭に立てば、老いも若きも集まって握手を求め、蓮舫氏の名前が見出しに載った記事がインターネットに掲載されると閲覧回数が多いのも事実だ。良きにつけ、悪しきにつけ、注目度の高い蓮舫氏が第一線から去る。

 民進党代表選は、前原誠司元外相(55)と枝野幸男前幹事長(53)による一騎打ちの公算だ。ただ、9月上旬で調整されている党代表選までは、蓮舫氏が野党第一党党首の役割を担う。安倍晋三政権が稲田朋美前防衛相の辞任などでほころびを見せるさなかに、蓮舫氏は党代表をほうり投げた。政権追及の格好のタイミングで野党第一党をレームダック(死に体)化したそしりは免れない。(政治部 奥原慎平)