ヤンキー先生に噛みつく蓮舫代表 「加計学園」と「中国漁船衝突」民進と民主で180度異なる情報流出公務員の扱い

野党ウオッチ
記者会見する民進党の蓮舫代表=党本部(斎藤良雄撮影)

 学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設問題をめぐり、民進党が文部科学省の前川喜平前事務次官をはじめ内部告発者を“正義のヒーロー”とばかりに持ち上げ、安倍晋三政権への批判を強めている。だが、旧民主党政権時代には尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐり、映像をインターネット上に公開した元海上保安官を“犯罪者”として扱った過去がある。蓮舫代表もそこは気付いているようだが…。

(※7月3日にアップされた記事を再掲載しています)

 「副社長レベルが、一般社員の勇気の告発を処分するといえば、職員の士気に影響が出る。結果として公益に値する行政になるのか、冷静に考えれば分かる」

 蓮舫代表(49)は6月15日の記者会見で「ヤンキー先生」として知られた義家弘介文科副大臣(46)の対応について、こう批判した。

 蓮舫氏が問題視したのは13日の義家氏の参院農林水産委員会での答弁だった。

 加計学園問題をめぐり「総理のご意向」などと記した記録文書の存否が焦点となっていた中、複数の文科省の職員が報道機関の取材に対して存在を認め、証言をしていた。

 義家氏は、告発した職員らが公益通報者保護制度の対象になるかを問われ、「一般論」と前置きした上で「非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可なく、外部に流出させることは、国家公務員法(守秘義務違反)になる可能性がある」と述べた。

 国家公務員法100条は「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定され、違反したと判断されれば1年以下の懲役が科せられる。

 義家氏は国家公務員法の説明をしたに過ぎないが、蓮舫氏をはじめ、民進党からは「内部告発者を威嚇するような発言だ」(野田佳彦幹事長)といった反発が相次いだ。

 義家氏を批判する一方、民進党はメディアに証言した現役の文科省職員や「面従腹背」を座右の銘と公言する前川氏らを「勇気を持って語っておられる」(山井和則国対委員長)と手放しで賛美する。

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 ただ、民進党には、文科省職員と同じ内部告発者を見捨てた過去がある。

 平成22年9月に発生した尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件。当時の旧民主党・菅直人政権は中国漁船が海保の巡視船に体当たりする映像を国民から隠蔽しようとしたが、海上保安官(当時)の一色正春氏の手によって世に出された。

 一色氏は民主党政権から糾弾される。

 当時の仙谷由人官房長官は「由々しき事件だ。徹底的に調べていただかないといけない。その広さと深さの想像がつかない」と述べ、告発行為の悪質性を強調した。逮捕は見送られたもの、一色氏は12年勤めた海保を退職せざるを得なくなり、国家公務員法(守秘義務違反)で書類送検された。

 一色氏の行動がなければ中国漁船の違法性を国際社会に発信する機会は失われていたかもしれない。

 だが、民主党内で一色氏をかばう声は表立たず、むしろ責任論が飛び火しないように海保を所管する馬淵澄夫国土交通相(当時)をかばう姿勢が目立った。

 菅氏は、産経新聞の取材に当時の一色氏の告発行為について「結果としてビデオが表に出たことは良かったと思っていた。ただ、ビデオは当時裁判資料になっていたため、(政権内で)専門家を称する人が『表に出すな』というもんだから…」と責任転嫁ともとれる発言をした。

 漁船衝突事件から7年がたち、民主党は民進党に党名を変えた。蓮舫氏は6月29日の記者会見で、加計学園問題の内部告発者との対応の整合性について「旧民主党と今の民進党を比較して、どう答えればいいか…」と一色氏の対応について評価を避け、公益通報者保護のために制度改正に尽力すると語るにとどめた。

 蓮舫氏には、前川氏ら文科省の“勇気ある”告発者と同じく、当時の民主党政権時代で振り返られなかった一色氏の義憤にも思いもはせていただきたい。

(政治部 奥原慎平)