民進党議員は「蓮舫降ろし」に決起せよ! 党首討論で見えた岡田克也前代表との「格」の違い

松本学の野党ウオッチ
伊勢神宮の内宮の参拝に向かう民進党の蓮舫代表=1月4日午前、三重県伊勢市

 安倍晋三首相の「一強政治」の最大の“功労者”が今年も意気軒高だ。菅義偉官房長官のことかって? とんでもない! 野党第一党の支持率低下のために日々汗を流し、政権を陰で支え続けている民進党の蓮舫代表である。

(※1月10日にアップされた記事を再掲載しています)

 「酉年は必ず大きく政界が動く年だと思っております。民進党が羽ばたける一年にしたいという思いを持って参拝をさせていただきました」

 蓮舫氏は1月4日の伊勢神宮(三重県伊勢市)参拝後の記者会見でこう力を込めた。いくら新年早々とはいえ、おめでたいにもほどがある。民進党が「羽ばたく」ことへのブレーキになっているのは、蓮舫氏の存在にほかならないのだから…。

 代表就任直前に浮上した「二重国籍」問題で説明を二転三転させた末、いまだに戸籍謄本の開示を拒んでいるのは周知の通り。先の国会での統合型リゾート施設(IR)整備推進法の審議をめぐっては、参院で与党と法案修正に合意しながら、のちに審議遅延戦術に転じるというちぐはぐな対応を繰り広げ、ガバナンス(統治)能力の欠如を露呈した。あげくの果てに党の支持率は1ケタ台をさまようという惨状だ。

 この手のエピソードを挙げていけばキリがないのだが、私が「この人が代表ではダメだ」と確信したのは昨年12月7日の安倍首相との党首討論である。

 蓮舫氏がこの場で少なくとも7つのウソ・矛盾を公然と述べたのは既報の通り(https://www.sankei.com/premium/news/161219/prm1612190003-n1.html)だ。ただ、事実確認さえ怠らなければ言わずにすんだ「ウソ」も少なくない。野党第一党のトップとして首相との対決に臨むにしては、明らかに準備が不足していた。

 自らのウソを棚に上げ、首相に対し「息をするようにウソをつく」と言い放つ蓮舫氏を見ていて、私は、民主党の岡田克也代表(当時)が昨年1月、首相への代表質問に臨む際に語っていた次の言葉を想起した。

 「代表質問は野党第一党の“施政方針演説”である」

 岡田氏はこの代表質問に100時間以上を費やして原稿を作成して臨んだ。当然ながら、蓮舫氏のようなファクト(事実)の誤りを口にすることはなかった。「対案がない」という政府・与党からの批判も踏まえ、児童扶養手当などに関する対案も示していたし、民主党政権の失敗や力不足も率直に認めた。

 「首相の答えない力、逃げる力、ごまかす力。まさに『神ってる』」と流行語を使ってドヤ顔を見せた蓮舫氏とは対照的に、岡田氏の質問には、地味ながら、国民の信頼を愚直に取り戻そうという姿勢がにじんでいた。

 岡田氏は、安倍首相を批判する際に「不正直(ふしょうじき)」という言葉をよく使った。キャッチーとは言いがたい、なおかつマスコミが飛びつくとも思えないフレーズをなぜあえて用いたのか。きっと岡田氏は「ウソつき」と言いたかったのだと思う。ただ、いくら「敵」であるとはいえ、一国の首相に対しあまりに口汚い言葉は投げつけたくない-。岡田氏はそう考えたのだと私は理解する。

 蓮舫氏の首相に対する「息をするようにウソをつく」という発言(しかも、自分は散々ウソを並べ立てておきながら…)を思えば、岡田氏との「格」の違いを感じずにはいられない。

 昨年7月末に岡田氏が民進党代表選への不出馬を表明した際、政府・与党関係者は異口同音に「岡田氏が出ないことが何より手痛い」と語っていた。地味な岡田氏が代表なら政権は盤石だが、ヘタに新鮮味のある人物が出てきたらやっかいだ、という意味だ。しかし、旧民主党時代を含めた初の女性党首として新鮮味抜群のはずの蓮舫氏が、いまや「辞めてほしくない」(自民党中堅)という“期待”を一身に背負っているのだから、実に皮肉なものである。

 それにしても理解に苦しむのは、民進党内で「蓮舫降ろし」の動きが顕在化しないことだ。党関係者と話すたびにその理由を尋ねているが、どうも胸にストンと落ちる解説を聞くことができない。「代表選で選んだ以上、支え切ることが政党人のあり方」(若手)、「ほかに人材がいない」(ベテラン秘書)といった言い分は理解できなくはない。だが、蓮舫氏のもとで、年内ともささやかれる次期衆院選を戦い抜くことができないのは明々白々ではないか。

 今夏の東京都議選で民進党が敗北すれば蓮舫氏の責任論が浮上することは必至だという観測もあるが、それまで党勢のジリ貧状態が続けば、後の選挙へのマイナスは計り知れない。申し訳ないが、蓮舫体制に異を唱えない民進党議員は、有権者の目には「官邸の回し者」としか映らない。