国連特別報告者とは一体何者なのか? 実態と乖離した報告に反発強まる 政府は問題点を申し入れへ

 
表現の自由を担当する国連特別報告者のデビッド・ケイ氏=2015年10月22日、ニューヨークの国連本部(国連提供)

 日本における表現の自由の現状を調査した国連のデービッド・ケイ特別報告者が報道の自由や教科書検定などについて懸念を示したことをめぐり、政府からは「政府が行った説明が十分に反映されていない点が多々あると感じる」(萩生田光一副長官)などの反応が出ている。昨年来日し「日本の女子生徒の13%が援助交際に関わっている」と発言した特別報告者も含め、相次ぐ実態とかけ離れた見解には国内の反発も強まっている。そもそも特別報告者は政府の説明を受け止めた上で公正な判断を下せる性格の制度なのだろうか。

 ケイ氏は12~19日の日程で日本に滞在した。そのうち週末を除いた時間の半分を省庁、残りを非政府組織(NGO)関係者やジャーナリストや弁護士などとの面談にあてた。政府側は「局長や審議官レベルが対応した」(外務省筋)といい説明の不備を指摘されない対応で臨んだ。ケイ氏が会った「NGOやジャーナリスト、弁護士を含む市民社会」については、国連やケイ氏側が直接やりとりしたため面談者などの情報は明らかになっていない。

 特別報告者は国連人権理事会から任命され、政府や組織からは独立して特定の人権に関わるテーマについて各国で調査や監視、報告、勧告を行う任務を負う。任期は3年。米国の大学教授で人権を専門とするケイ氏は2014(平成26)年8月に任命された。

 特別報告者の訪問調査は国連加盟国193カ国のうち115カ国が恒常的な招待を出しており、日本は民主党政権下の平成23年3月に招待を出した。それ以前は「是々非々で対応していた」(外務省筋)というが、慰安婦を「性奴隷」と表現した報告書をまとめたクマラスワミ特別報告者も受け入れていた。

 特別報告者の訪問は国連側から各国に打診があって調整が始まる。訪問先について日本弁護士連合会のホームページには「多くの訪問要請があると訪問が実現する可能性が高くなります」とある。このため、政府内には「政府がいくら対応しても特別報告者側もNGOなどの訴えを受けている以上、政府の説明に理解したとは言えない立場にある」との声も漏れる。

 特別報告者をめぐっては深刻な人権侵害が行われている国で調査ができなかったり、調査できても勧告が無視されたりすることが多く、制度として事実上形骸化している実態も指摘されている。

 ケイ氏の日本での調査報告書は来年6月の人権理事会で報告される見通し。日本は今後、ケイ氏が19日に発表した見解の問題点を関係省庁で整理し国連側に申し入れる方針だ。

(田北真樹子)