【静岡知事選】自民推薦の岩井氏、正式出馬表明…リニア「推進ではない」 川勝氏は「反対ではない」主張
自民党の岩井茂樹前参院議員(52)=静岡選挙区=は14日、静岡市内で開いた記者会見で、任期満了に伴う静岡知事選(6月3日告示、20日投開票)に出馬を正式表明し、新型コロナウイルス対策や人口減少問題を柱に訴える考えを示した。自民党は岩井氏を推薦している。これまでに現職の川勝平太氏(72)が4選を目指しての出馬を表明、立憲民主と国民民主の両党県連などが支援する構えで、与野党対決の色合いが強まっている。
岩井氏はこの日、自身の議員辞職を了承する参院本会議に出席。続いて党本部での推薦証受領などの日程をこなし、夕方に静岡市内の選挙事務所で会見に臨んだ。出馬理由について、国土交通副大臣など参院議員時代の経験に触れ「この経験値を恩返しのためにも故郷、静岡に生かしたい」と力説した。
最大の争点とみられるリニア中央新幹線建設問題については、「地域住民の理解と協力なしで事業は進められない。国もJR東海も地域住民に寄り添う姿勢が必要だ」と指摘。その上で「(リニア事業を所管する)国交副大臣を経験したからといって『リニア推進派』ではない。逆に『駄目だ』という部分は国交省に言える」と是々非々の姿勢を強調し、川勝氏によるレッテル貼りを牽制(けんせい)した。
選挙戦で訴える政策課題としては、まず「第4波」が広がる新型コロナウイルス対策を挙げた。「感染拡大予防、速やかなワクチン接種、医療崩壊を防ぐ手立てを考えないといけない」と述べた。同時に、中長期的な視点から「問題は人口減少だ。税収減や地域交通の衰退、農地の耕作放棄地が増えるなど人口減少はあらゆる(分野に)悪影響を与えている」と強調した。
出馬意向を固めてから正式表明に至るまで時間を要した経緯にからみ、所属する自民党竹下派などから「むちゃくちゃ反対された」と明かした。最終的には党本部推薦を得て挙党態勢で選挙戦に臨むが、「当時は党本部や派閥にいくら反対されようが、故郷のために頑張りたいと思っていた」。話しながら感極まったのか、目を真っ赤にはらす場面もあった。
一方、川勝氏は14日の知事会見の中で、リニア問題の岩井氏とのスタンスの違いを問われ、「命の水を大切にする、地域の理解が大前提というのは同じではないか」としつつ、「どのように水を守るかについて、トンネルを掘ってから戻すのか、掘る前にきちんと精査するのかという違いだ」と述べた。
その上で「南アルプスにリニアを通すことで失われるものが非常に多く、リスクが高い」と指摘したが、自身の立ち位置について「賛成・反対ということではなくどうすれば(環境と)両立できるか考えている。一回立ち止まって考えてはどうか、南アルプスとリニアの関係では不安要素が多すぎる、というのが私の考えだ」として、建設に反対はしていないと主張した。