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艦艇共同生産 受注争いはイタリアと接戦…「陰の競合国」は中国

首相官邸=東京都千代田区
首相官邸=東京都千代田区

 政府がインドネシアとの間で海上自衛隊の護衛艦を原型に艦艇の共同生産を想定していることが11日、明らかになった。同国周辺海域で中国が威圧的な行動に出た直後の昨年初めから艦艇移転の調整に入り、今年3月には防衛装備品・技術移転協定を急ピッチで締結し、移転に向けた環境は整った。受注争いはイタリアとの接戦が指摘される中、中国が陰の競合国といえそうだ。

 日本、インドネシア両政府は3月、外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を都内で開き、移転協定に署名した。協定は移転する装備を適正に管理してもらうことを定め、装備移転にあたり欠かせない法的枠組みだ。

 実は当初、艦艇移転交渉のためプラボウォ国防相を招く調整を進め、2プラス2は後付けだった。結果的に日本側は2プラス2に間に合うよう、協定に関する政府内手続きを異例のスピードで終え、インドネシアとの協議も加速した。

 共同生産では海自の護衛艦を原型にインドネシア海軍のニーズを採り入れた艦艇を最初は日本の造船所で数隻建造した後、技術を移転しつつ拠点をインドネシアの造船所に移して数隻建造する案を検討する。事業規模は数千億円と見込む。

 政府高官は「プラボウォ氏は日本を本命視している」と指摘する。ただ、インドネシア政府は一枚岩とはいえず、日本とイタリアをてんびんにかけ、勝算は五分五分との見方が多い。

 別の高官は「インドネシアは3方向をみている」と分析する。3方向は日本とイタリア、そして中国だ。

 インドネシアは輸出入とも中国が最も多く、新型コロナウイルスでは中国製ワクチンの供給を受けた。イタリアは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に参画している。中国が日本からの艦艇移転に横やりを入れ、インドネシアも中国の顔色をうかがい、イタリアになびく恐れはある。

 防衛装備移転三原則で認め得る共同生産や輸出は日本の安全保障上、「積極的意義」がある場合で、インドネシアが中国に威嚇されている海域は日本の海上交通路(シーレーン)の要衝だ。共同生産はインドネシアの対処力と技術力を向上させ、地域の平和と安定に寄与し、日本の国益にも資する。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)の盟主を自任するインドネシアとの関係強化は多層的な意義があり、政府を挙げた受注への取り組みが求められる。(半沢尚久)

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