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韓国の文在寅政権が外交で遺産づくりに焦り 求心力低下で対日改善難しく

文在寅大統領(共同)
文在寅大統領(共同)

 韓国で7日に投票が行われたソウル、釜山両市長選の結果を受け、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は政策の見直しを迫られる。残る任期が1年余りとなる中、北朝鮮との対話再開を含めて外交的な遺産づくりを目指すが、日本などとの関係は行き詰まったままだ。両市長選の結果、さらに求心力が低下すれば、文氏が意欲を示し始めた日韓関係改善は遠のく。

 文政権と与党は選挙ごとに支持層を意識して保守系野党に「親日」のレッテルを貼る戦術を展開してきた。日本の輸出管理厳格化で反日世論が高まった2019年以降、文氏が対日強硬姿勢を打ち出したことも支持され、昨年4月の総選挙は与党が圧勝した。

 だが、今回は「反日」戦術が抑えられた。与党は当初、野党トップが釜山と九州を結ぶ海底トンネル構想を提案したことを「親日」と批判したが、ソウル市長選の与党候補の夫が東京に高級マンションを所持していたことが逆批判された事情もある。日韓関係の悪化の長期化に、文氏自身が関係改善への努力を明言し始めたからでもあった。

 文氏は北朝鮮との協力再開を見据え、「東京五輪は南北間や米朝間の対話の機会になる」として協力を表明していた。しかし、北朝鮮は6日、東京五輪への不参加を公表。日韓関係改善を南北融和のステップにする構想は頓挫した。北朝鮮政策の見直しを進めるバイデン米政権とは、対北政策で温度差が露呈している。

 中国との関係強化にも動いたが、中国での韓国芸能人の締め出しといった、米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)=サード」の韓国配備に対する中国の事実上の報復措置さえ続いたままだ。

 バイデン政権からも日米韓協力の修復を迫られているが、文氏は日韓関係悪化の根源である、いわゆる徴用工や慰安婦訴訟で日本企業や日本政府に賠償を命じた判決に関する抜本的な解決策を日本側に示せていない。鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相は最近、「判決を尊重し、その範囲内で解決策を模索している」と説明している。

 国内で日本に譲歩したとみなされる解決策の検討には二の足を踏んでいるようだ。ソウルの外交筋は「対日外交は支持層へのアピール材料になりにくい」と指摘する。今回の選挙の苦戦を受け、来春の大統領選に向けて支持層の結集が必要とされる中、支持者受けしない外交策は一層取りづらくなる可能性がある。(ソウル支局長 桜井紀雄)

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