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【千葉県政の課題 専門家に聞く】(5)農業 木内博一「和郷」代表取締役 「県の特徴生かした強い戦略を」

木内博一「和郷」代表取締役(小野晋史撮影)
木内博一「和郷」代表取締役(小野晋史撮影)

 千葉県の農業は産出額で言うと全国4位だが、かつては2位だった。今は他県に比べて、少し停滞気味な印象を受ける。

 一口に農業と言ってもさまざまだが、このうち野菜や果物に関しては、温暖な気候や大消費地である首都圏へのアクセスの良さなどもあって盛んで、30~40年くらい前から“王国”といわれてきた。

 しかし、その結果としてあぐらをかいてきた所があると思う。自分たちがトップだと考えている間に、海外も含めた先進的な技術の導入が遅れてしまったようだ。

 例えば、太陽光利用型の植物工場といわれるオランダ方式のメガファームは、今や全国的に展開されているが千葉ではなかなか見られない。これは他の産業で使われている技術を農業に持ち込み、環境制御をしながら肥料を与えるといった先進的な栽培方式だ。省エネで人件費が安いだけでなく、面積当たりの収穫量は大幅に増加する。

 もちろん、導入に向けた設備投資には、それなりの資金が欠かせない。農業者だけでは無理なので行政の支援が求められる。千葉県の職員も現場レベルでは分かっていると思うが、これはトップが判断できなければ前に進まない。

 新知事は、こういった感覚をしっかりと持ち、強い戦略的メッセージを打ち出して、現場と一緒になって動くべきだ。そうでないと特に国内では、品質面やコスト面などで今後かなり苦戦するだろう。

 農業というのはあえて言えば食材製造業だ。1つの事業として経営感覚を持ち、製造原価を把握して販売戦略を構築する。そうすると、有利に販売するにはブランド化が必要だとか、流通経費を節約しようといった発想が次々と出てくる。

 まさしく千葉県は、今後そういった農業を展開していかねばならない。食の供給責任をしっかりと担保した上で、経営感覚を備えたアグリ事業者をどんどん生み出していく。

 気候が温暖で大消費地が近いだけでなく、成田空港があるので輸出にも有利といった好環境を生かせば、農業を産業化できる。農村地域における雇用を農業で吸収するだけでなく、お金も落ちて地域の活性化につながる。

 その意味で今後は、例えば若者に参入の機会を提供して事業化を誘導していく施策を取るべきだろう。高齢化した農家が離農したり、耕地を放棄した場合、事業化を目指す若い人たちに農地がうまく渡るように誘導し、成長を促していく。今は高齢化による担い手不足が懸念材料とされるが、農業の構造転換にとってはむしろプラスとなる。

 千葉県の農業は、強い戦略とメッセージを持つトップの采配によって、まったく変わってくる。新知事は千葉県の特徴を生かした戦略を打ち出し、行政やJA(農業協同組合)、事業者などと互いの立場を超えて協力しながら本気で進めていくべきだ。そうしないと、今後ますます他県に後れを取ってしまうだろう。

 ◇ 

 きうち・ひろかず 香取市の株式会社「和郷(わごう)」代表取締役。平成元年に農林水産省農業者大学校を卒業し、家業を継いで就農。8年、和郷を設立。10年、農事組合法人「和郷園」を設立。農業を中核とした多角的な経営で年商70億円の企業体を作り上げた。千葉県出身。53歳。

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