PR

ニュース 政治

危機管理教訓 コロナに生きず 情報共有と指揮命令の一元化は基本 震災時に危機管理監の伊藤哲朗氏

インタビューに応じる東京大学の伊藤哲朗・客員教授(東日本大震災当時の官邸危機管理監)=3日午後、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)
インタビューに応じる東京大学の伊藤哲朗・客員教授(東日本大震災当時の官邸危機管理監)=3日午後、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)

 東京電力福島第1原発事故から11日で10年となるのを前に、首相官邸で当時、内閣危機管理監として対応に当たった伊藤哲朗東大生産技術研究所客員教授(72)が産経新聞の取材に応じ、新型コロナウイルスへの政府対応について「原発事故の教訓が生きていない」と述べた。

 「情報共有が不十分だったのが一番の問題だ。官邸の危機管理部門が有効に活用されなかった」

 伊藤氏は、こう振り返る。政府は平成7年の阪神大震災で統一的な対応ができなかった反省から、10年に危機管理監以下の対応部門を発足させ、官邸地下に危機管理センターを設置した。

 23年3月11日。大地震と大津波への対応に、こうした体制は機能した。だが、福島第1原発で起きた停電で事態は一変した。当時の原子力安全・保安院は現地の情報を把握できずに初動が遅れ、民主党政権下の菅(かん)直人首相(当時)をトップとする官邸は午後7時ごろに原子力緊急事態宣言を発出するまで事態発生から2時間以上かかった。

 午後8時半ごろ、伊藤氏はある異変に気付く。幹部会議室に政治家の姿が突然見えなくなった。首相や海江田万里経済産業相ら政権幹部が保安院幹部らとセンター内の休憩室にこもってしまったからだ。首相らは伊藤氏がいる危機管理センターとは別に東電から直接情報を集めていたことが後で分かった。センターには一部の重要な情報が入ってきていない状態だった。

 「緊急事態に重要なのは情報を共有し、指揮命令系統を一元化すること。基本が全くできていなかった」

 この1年間の政府の新型コロナ対応を見ていると、伊藤氏は情報共有が図られず、対応が後手に回っているのではと感じる。

 一連の対応では、昨年1月上旬に中国が感染の確認を公に発表したが、中国全土との事実上の往来停止は同年3月上旬だった。当時の安倍晋三首相が2月下旬に突然、全国小中高校の一斉休校を発表した際には、官房長官だった菅義偉(すが・よしひで)首相らに事前の相談がなかった。

 21年の新型インフルエンザ流行時も危機管理監として対応に当たった伊藤氏は「パンデミック(世界的大流行)の時こそ危機管理部門の出番のはずだ。政治家は役人をフル活用すべきだ。今回の官邸の危機管理は、むしろ後退している印象すら抱く」と危機感をあらわにした。

(市岡豊大)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ