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災害弱者避難を強化 災対法改正案 「個別計画」不可欠に

津波で押し流され汚泥に埋まる車両。元は水田だったという=2011年3月12日午前6時39分、仙台市若林区
津波で押し流され汚泥に埋まる車両。元は水田だったという=2011年3月12日午前6時39分、仙台市若林区

 政府・与党は災害対策基本法改正案を今国会で成立させる予定だ。成立すれば、自治体が出す「避難指示」と「避難勧告」の一本化をはじめ、長年の災害対応の懸案に道筋がつくことになる。11日で発生10年を迎える東日本大震災の教訓でもある高齢者ら災害弱者の避難では個別計画の策定を強化し、住民を自治体外へ大規模避難させる「広域避難」については初めて法的根拠を持たせた。

 改正案では、自治体が出す避難情報のうち避難勧告を廃止して避難指示に統一する。勧告と指示の2段階の避難情報は昭和36年の制定以来、全国の自治体で定着してきたが、いずれも5段階の警戒レベルで「4」に位置付けられ、「タイミングが2つあって分かりにくい」とされてきた。

 またレベル「5」に「緊急安全確保」を新設する。ただ、災害発生もしくは切迫した状況で出す「5」の時点ではすでに避難が難しい状態で、「高齢者等避難」に改称される「3」の重要性が増す。「4」の避難指示までに全員避難することを周知徹底する。

 災害弱者の避難で課題となってきたのが、平成17年に制度化された一人一人の事情に応じた避難計画を策定する個別計画だ。東日本大震災の死者のうち65歳以上の高齢者は約6割、障害者の死亡率は被災者全体の約2倍に上った。だが、要支援者名簿に掲載された全員の計画策定を終えた自治体は、令和元年6月時点で12・1%(総務省消防庁調べ)にとどまる。

 改正案では、個別計画策定を自治体の努力義務とし、ケアマネジャーらとの連携などモデル地域を設定して促進する。跡見学園女子大の鍵屋一教授は「高齢者らも支援者も助かるために事前の個別計画が不可欠だ」と話す。

 広域避難をめぐっては、住民の大規模避難に備えて国の災害対策本部を事前に設置できるようにする。首都圏への巨大台風接近時には東京都東部で250万人規模の住民が避難することが想定され、東大の片田敏孝特任教授は「実効性を持つには近隣自治体間での相当綿密な事前協議が必要だ。従来の発想を転換しなければならない」と指摘する。(市岡豊大)

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