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全国初「エスカレーター歩かない」条例案 埼玉県議会・自民会派が提出へ

エスカレーターに止まって乗るよう呼び掛ける掲示物=19日午後、さいたま市大宮区のJR大宮駅(中村智隆撮影)
エスカレーターに止まって乗るよう呼び掛ける掲示物=19日午後、さいたま市大宮区のJR大宮駅(中村智隆撮影)

 エスカレーターに立ち止まって乗ることを努力義務として課す条例案を、埼玉県議会最大会派の自民党議員団がまとめた。19日に開会した県議会2月定例会に提出する。可決、成立の公算が大きく、自民党議員団によると、制定されれば全国の都道府県で初めてとなる。

 条例案は、仮称「埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」で、県民と県、事業者の3者にエスカレーターの安全な利用に向けた責務を課す。県民に対してエスカレーターに立ち止まった状態で乗ることを求め、県は啓発活動の強化、事業者は周知徹底を図る。違反した場合の罰則は定めない。

 エレベーターやエスカレーターの事業者で構成する「日本エレベーター協会」の調査では、平成30年~令和元年の全国のエスカレーター事故件数は1550件で、約6割が「転倒」で占められた。

 行政もこうした状況を問題視しており、埼玉県は昨年8~9月、東京都や神奈川県など9都県市と連携し、エスカレーターでの歩行自粛を求める「立ち止まって乗ろうエスカレーター」キャンペーンを展開した。

 条例案をまとめる際の参考として自民党議員団が昨年12月から今年1月にかけて実施したパブリックコメント(意見公募)では、県民から「他人と衝突して怖い思いをしたことがあるので条例化に賛成だ」などの意見が寄せられた。一方で「わざわざ条例化する必要はない」「結局は個人のマナーの問題」といった声もあった。

 議員団の中屋敷慎一政調会長は「本来、エスカレーターは歩くことを想定して作られておらず、歩行は重大な事故につながりかねない。慣習を改めるのは非常に困難だが、条例化で状況を改善していきたい」と話す。

 エスカレーターの歴史やマナーに詳しい江戸川大名誉教授(文化人類学)の斗鬼正一(とき・まさかず)さんによると、エスカレーターの左右どちらかを歩く人向け、残る一方を立ち止まる人向けとする慣習は、高度経済成長期からバブル期にかけて浸透したものだという。

 斗鬼さんは「条例案は『エスカレーターで歩いてはいけない』と明確に示しており、画期的な内容だ。今年は多様性を理念に掲げる東京五輪の開催を控えている。弱者への配慮が求められる今だからこそ、慣習を改める良いタイミングではないか」と話している。

(竹之内秀介)

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