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【外交安保取材】“盲腸”取れて外務省安堵 米新政権の「自由で開かれたインド太平洋」

米ホワイトハウスで演説するバイデン大統領=5日(ロイター)
米ホワイトハウスで演説するバイデン大統領=5日(ロイター)

 「盲腸が取れたね」

 8日に行われた米印首脳電話会談後、米ホワイトハウスが出した報道発表を見て、日本外務省幹部は手放しで喜んだ。そこにはこんな一文があった。

 「両首脳は『自由で開かれたインド太平洋』を推進するため、引き続き緊密に協力していくことで合意した」

 自由で開かれたインド太平洋は、安倍晋三前首相が平成28年に打ち出した外交ビジョンだ。航行の自由や法の支配、自由貿易の普及などを柱に、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至る地域を「国際公共財」として発展させることを目指す。

 背景には、東シナ海や南シナ海で覇権主義を強める中国の存在がある。米国でさえ抑えがたい国力を付けつつある中国に、日本が単独で対峙(たいじ)するのは現実的ではない。共通の価値観や目的を持つ国々と安全保障や経済分野で連携し、中国との関係を安定させる狙いがある。

 もろ手を挙げて賛同したのが、安倍氏と蜜月関係を築いた米国のトランプ前大統領だ。自由で開かれたインド太平洋を自身の外交政策の中核に取り入れ、厳しい対中政策を次々と打ち出した。中国を名指しで批判することも珍しくなく、提唱した日本政府が「自由で開かれたインド太平洋は特定の国を念頭に置いたものではない」と火消しに走る場面も散見された。この外交ビジョンは東南アジア諸国連合(ASEAN)や欧州などで広く定着しつつあるが、米国の強い支持が推進力になったことは間違いない。

 米国の政権交代で焦点になったのが、トランプ氏の外交政策が引き継がれるか否かだった。バイデン米大統領は地球温暖化対策や移民政策など多くの分野で方針転換を明言していただけに、トランプ氏が重視した自由で開かれたインド太平洋も採用しないとの臆測が流れた。

 まったくの杞憂(きゆう)ではなかった。米大統領選直後の昨年11月に行われた菅義偉首相との電話会談で、バイデン氏は「安全で繁栄したインド太平洋」と語った。「自由で開かれた」が中国を念頭に置いた価値観の要素を多く含むのに対し、「安全で繁栄した」は国際社会では一般的な表現で、中国が用いても違和感がない。

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