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問われる日本の価値観外交 自民党「人権外交PT」が発足 ミャンマーや中国の人権弾圧を議論

ミャンマー・ネピドーの軍の検問所=1日(ロイター)
ミャンマー・ネピドーの軍の検問所=1日(ロイター)
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 自民党は3日、人権外交を検討するプロジェクトチーム(PT)を発足させた。ミャンマー国軍によるクーデターや中国政府による人権弾圧などをテーマに議論し、6月までに提言をまとめる。政府は「対話と協力」を人権外交の基本に据えるが、欧米では人権問題に厳しい対応が顕著になっている。PT発足の背景には、日本が従来の方針を続ければ国際社会で孤立しかねないとの危機感がある。

 「バイデン米政権が人権を重視し、より強い姿勢で臨むのではないかといわれている。日本の人権外交はこのままでいいのか」

 PT座長の鈴木憲和外交部会長代理は、同日の初会合でこう問題提起した。佐藤正久外交部会長も「価値観の部分で譲ってはいけない」と政府にくぎを刺した。

 人権や民主主義をはじめとする「普遍的価値」を重視する姿勢は政府も共有する。茂木敏充外相はミャンマーでのクーデターに「重大な懸念」を示し、拘束された要人の釈放や邦人の安全確保を求めた。香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧などについても、許容できないとの考えを中国政府に重ねて伝えている。

 非難声明や制裁を断行する欧米に比べ「弱腰」(自民党中堅)との指摘もあるが、戦略的な選択でもある。欧米が軍政時代のミャンマーに制裁を科す中、日本は関係を維持した。結果、国軍とのパイプは先進国の中で突出している。茂木氏はこうした関係を生かし、国軍に直接対話を呼びかける考えを示している。

 外務省幹部は「欧米と一緒に制裁に走れば日本の存在は埋没する。ミャンマーの対中傾斜も早まる」と語る。中国の人権問題についても「日本が拳を振り上げても弾圧は止まらない。欧米と一線を画す独自の立ち位置だからこそ価値がある」と説明する。

 とはいえ、こうした方針が長期的に功を奏す保証もない。佐藤氏は1989年の天安門事件で日本が中国に融和的な姿勢を取ったことに触れ「間違っていたといわざるを得ない。人権外交ではしっかり旗を立てる必要がある」と強調する。

 新たに立ち上がったPTが、強い制裁や非難を声高に訴えるだけの場に陥るようなら意味はない。普遍的価値を重視しつつ、国益や国際社会に貢献するための現実的な議論で政府を後押しできるかが問われている。(石鍋圭)

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